名古屋市昭和区の住宅街に佇む、昭和の面影を残す食堂「ひさや」。創業48年、学生から家族連れまで幅広く愛され続ける理由は、手作りにこだわった家庭的な味と、迎えてくれる夫婦の温かな人柄にあります。

■昭和にタイムスリップしたような食堂

名古屋市昭和区の住宅街にある「お食事処 ひさや」。昭和52年創業の店内は、どこか懐かしく、昭和にタイムスリップしたような雰囲気です。

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やさしい味わいの「野菜炒め定食」(660円)や「生姜焼定食」(800円)、唐揚げが4つの「鶏唐揚定食」(800円)など40種類以上のメニューを揃えます。名古屋大学や南山大学が近く、学生客が多いのも特徴。家庭的でやさしい味付けとボリュームが人気の理由です。

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客:
「サクサクでお肉がやわらかくておいしい」

別の客:
「懐かしくて心落ち着く雰囲気。実家に帰ってきたみたい」

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厨房に立つのは、樅山久男さん(76)と妻・しづ子さん(72)。夫婦2人3脚で48年間のれんを守ってきました。2人の1日は近所を30分ほど散歩することから始まり、店に戻ると仕込み。味噌汁の具は日替わりで、この日は大根です。

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創業は2人が結婚した昭和52年。地域に寄り添い半世紀、飾らずに歩んできました。

しづ子さん:
「2人でもちつもたれつ。お互いにカバーしながら」

■コロッケから漬物まで “すべて手作り” の温かさ

午前11時開店。のれんを出すと、お腹を空かせた人たちが次々に来店し、店内はすぐに賑わい始めます。壁一面に並んだメニュー短冊は40種類以上。そのほとんどが手作りです。

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しづ子さん:
「コロッケでも漬物でも焼き肉のタレでも、なんでも手作りでやっている」

どのメニューも注文が入ってから調理し、「できたて」にこだわります。餃子も注文後に包んで焼いていきます。手作りコロッケが3つ付いた「コロッケ定食」(700円)や、脂がのったサンマを丸ごと味わえる「さんま定食」(880円)も人気です。

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最近、5年ぶりの新メニュー「カツカレー」(830円)が登場。豚肉とタマネギを炒めてカレールウで仕上げ、揚げたてのとんかつをのせた一皿は、ボリューム満点です。

久男さん:
「学生が多いので、ボリュームがないと」

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丁寧な仕込みと家庭的な味、そしてお値打ちな価格。店はいつも多くの客でにぎわいます。

学生:
「一人暮らしで食事が面倒くさい。自分では作れないものをここでは食べられる」

常連客:
「土日に少年野球をやっているので、昼ご飯はいつもここへ。昔懐かしの味」

別の常連客:
「母が亡くなってから父と来ている。ここへ来れば味噌汁も漬物も野菜もある」

中には、学生時代から40年通う常連客もいます。まさに、人生に寄り添う食堂です。

■昼夜2回来店する学生も…愛され続ける“毎日食べたい味”

午後2時。お腹が空いたらいつでも来てもらえるようにと、午前11時から夜10時まで休憩時間なしで営業を続けています。名古屋大学の大学院生2人は、昼と夜の1日2回来店する常連中の常連。

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大学院生:
「野菜炒め。一人暮らしで野菜がとれないので。いつ来ても同じ味でおいしい」

何度食べても飽きが来ない味が気に入り、足しげく店に通いましたが、来年4月に卒業です。

久男さん:
「新しい後輩が来てくれれば」

お世話になったお店とも、まもなくお別れです。

午後10時に閉店。掛けっぱなしだったのれんを片付け、夫婦水入らずの晩酌が始まります。

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しづ子さん:
「(48年間)あっという間。必死でやってきたから」

久男さん:
「(妻に)感謝だね。2人健康で言いたいことを言って、やりたいこともできた」

地域の暮らしに寄り添い、変わらない味と温もりを届けてきた食堂です。

東海テレビ
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