国による給食無償化をめぐる問題です。

都道府県の半額負担案も浮上する中、福岡県内の自治体からは本当に全額無償となるのかとの懸念も出ています。

11日夕方、福岡県の服部知事も参加した「緊急」の全国知事会議がオンラインで開かれました。

《オンラインによる“緊急”全国知事会議の発言》
「突然の提示だったので非常に当惑」
「知事会のせいにされて、私たちが最初から悪者になる構造」
「給食費無償化って大変耳障りの良い政策で、これを国として言ったのであれば、財源も含めて手当するのは筋論」

各都道府県のトップが声を荒らげているのは、来年4月に始まる公立小学校の給食無償化をめぐる問題。

制度設計を進める自民・維新・公明の3党が12月9日に突然「都道府県が無償化の半額を負担する案」を示したことを受け、反発が相次ぎました。

◆福岡県 服部知事
「私もこの進め方については大きく問題があると思っている。給食費の無償化は国の重要政策であり、国が費用の全額を負担することが大前提」

福岡県内の公立小学校の給食費の総額は概算で約140億円。

自民党など3党は「都道府県の負担分は地方交付税で措置する」としていて、実質的な負担はないとされています。

しかし…

《オンラインによる“緊急”全国知事会議の発言》
「『交付税措置する』というが、交付税措置の項目を追加するだけで、裏打ちがないようなことも結構多い。突然、県に対して求めるのであれば別枠でしっかり交付税の財源を確保すべき」

補てん分の財源ははっきりと示されておらず、地方交付税の実現性に対する懸念の声が挙がりました。

服部知事も会議終了後の取材に対し…

◆福岡県 服部知事
「交付税で措置するというのであれば、措置の額などについて明確に、またその算定についてはきめ細かく行われるべき」

一方、給食無償化をめぐる懸念は、県内の自治体からも…

◆古賀市 田辺市長
「古賀市では月に、保護者から4600円ほどをいただいている状況。ただ実際は物価高なのでプラス1000円以上かかっている計算」

古賀市では現在、保護者から徴収した4600円ほどの給食費だけでは最近の物価高騰分をまかなえないため、1人あたり1000円以上を市が負担しています。

一方、今回の無償化案で、自民党などはおととしの給食費調査を根拠に1人あたり月額約4700円を支給する方針で、古賀市のような自治体の負担分は考慮されていないといいます。

◆古賀市 田辺市長
「今、国が全国平均として4700円という額を出しているが、この額というのは実態とはかなり乖離している」

福岡からも批判が相次ぐ中、高市首相は12日、改めて給食無償化の来年4月開始に向け意欲を見せました。

一部では、保護者の負担も残るのではとの懸念もくすぶっていて、今後の議論の行方が注目されます。

現在、福岡県内で「給食無償化」を実施している自治体の数は、福岡市、大野城市、宮若市など「19自治体」と全体の3分の1です。

逆に言うと、県内の3分の2がまだ無償化に踏み切っていません。

このまま「地方も負担する形」で4月の無償化を迎えると、特に無償化を経験していない自治体にとっては、残り3カ月ちょっとで自前の予算で急いで無償化に対応する必要が出てくる可能性もあります。

県内のある自治体の担当者は「物価高の影響で来年度の給食費はさらに上がる見込みだが、財源が見通せない。現場が混乱するので早く枠組みを示してほしい」と話していました。

テレビ西日本
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