政府が物価高対策として推奨する「おこめ券」をめぐり、自治体の間では経費の高さなどを問題視して、配布を見送る動きが相次いでいます。

異論が相次いでいるおこめ券の値下げが発表されたわけですが、いま自治体のおこめ券離れが加速しています。

おこめ券の仕組みが分かると、どこが値下げされたかも分かります。

これまでは2つの団体が500円でおこめ券を販売していました。
ただ、使用できるのは440円分ということで、差額の60円は団体への経費や利益などが上乗せされていたということです。

今回は、その経費や利益を抑えて大体480円ぐらいで販売するということになりました。

青井実キャスター:
これだけ聞くと差額が縮まったことになりますね。

ただ、値下げが発表される中で、新たに東京・中野区、新潟市、石川・野々市市、福岡市の自治体はおこめ券の配布をそれでも見送る方針だということが判明しました。

経費の高さなどを問題視して、別の物価高対策を独自に考えているということです。

青井実キャスター:
現金給付だったり商品券だったり、対応を変えていくということですね。

SPキャスター・柳澤秀夫さん:
経費の高さを考えたら、自治体の判断は当然だと思います。

青井実キャスター:
ただこういう異論が相次ぐ中で、政府・農水省が値下げしてもおこめ券を推す理由は何だということですよね。

農水相関係者によりますと、「食料品の中でも特にお米の価格が上がっていることを踏まえたものである」「デザインしたりどこで使えるかなど、おこめ券だと新たに準備する必要がない」という声があるといいます。

一方で、お米の流通に詳しい流通経済研究所の折笠俊輔主席研究員は、「そもそもおこめ券はギフト用。運用にもある程度“利益”が必要である。それを物価高対策にしようとしていることが間違っているのではないか」と指摘しています。

また、さらに農水省が備蓄米を出すわけにもいかないので、おこめ券しか打つ手がないのではないかというふうに述べています。

青井実キャスター:
柳澤さん、批判を受けてタイミングを見て値下げという対応でしょうが、この辺りはどうみますか?

SPキャスター・柳澤秀夫さん:
物価高対策にはどう考えてもそぐわないと思いますよね。自治体はそれぞれ事情があり、地域の特徴がありますから、それに応じてどういう対策を打つか、自治体が判断していく流れのほうが自然だと思います。

青井実キャスター:
物価高対策。お米が高くなっているから安くしたい、そういったものが解消されるかですね。

折笠主席研究員によりますと、「お米自体は余っているので、年明けには5kg4000円台前半ぐらいに下がるのではないか」ということです。

青井実キャスター:
そういう意味では、おこめ券が市民の生活にうまく回ればいいんですが、ただ長期的に、今だけじゃなくてそういったことも考えないと。

SPキャスター・柳澤秀夫さん:
来年のお米どうなるのか、お米の値段が高くなるのをどうやって抑えていくかを本当は農水省にやってほしいことなんですけどね。

青井実キャスター:
そういったことも含めて我々も見ていかないといけないですね。