小松議員のホームページより
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入浴施設のサウナにスマートフォンを持ち込むなど、議員としての自覚に欠ける行動が続いているとして、宮城県富谷市の富谷市議会運営委員会は、小松大介市議(41)に対する辞職勧告決議案を全会一致で可決した。

小松議員は2023年8月の富谷市議会議員選挙に立候補し、無投票での当選を果たしていた。

自らを農業系エンターテイナー議員と称する、ちょんまげ姿がトレードマークの異色の市議の行動で、市議会は揺れている。

無投票当選から2年余りで浮上した不祥事

小松大介 富谷市議会議員
小松大介 富谷市議会議員

小松議員は、2023年8月20日に告示された富谷市議会議員選挙で初当選。

定員18議席に対し候補者も18人と、無投票での当選。市民の政治への関心に課題が残るなかでの議会入りだった。

その後は自身も農業に携わる立場から、米価高騰に対する対策や持続可能な農業のビジョンなど、農業や環境、食の安全などをテーマとする一般質問を多数行うなど、議員として精力的に活動してきた。

しかしその後、議員活動をめぐり疑問の声が相次いだ。

サウナにスマートフォン持ち込み 利用者から市に苦情

問題が表面化したのは2025年11月。

市議会によると、小松議員は市内の入浴施設のサウナにスマートフォンを持ち込んでおり、これを見た利用者から市に苦情が寄せられ、議会側が事実確認に乗り出した。

小松議員は仙台放送の取材に対し、「動画を見ていた」と説明している。

無断欠席、動画の無許可公開…過去にも厳重注意

小松議員に対する辞職勧告決議案
小松議員に対する辞職勧告決議案

辞職勧告決議案提出を受け、富谷市の別の市議は小松議員のこれまでの問題行動と議会側の対応について詳細をSNSに投稿した。

その投稿によると、今回のサウナの件では、入浴施設の職員から「出入り禁止に相当する注意」が本人に行われていたことを議会が確認したという。

さらに、サウナでのスマホ使用は、一連の行為の“最新の一件”に過ぎなく、過去には議長から文書警告が2度出されていた。

・市立保育所の運動会で撮影した子どもの写真を、禁止されていたにもかかわらず無断でSNSに掲載し、地元紙で大きく報じられた件
・吉田川流域溜池大和町外3市3ヶ町村組合の会議に市議会を代表して出席するという公務を私用で無断欠席した件

投稿した市議によれば、これら以外にも「社会人として常識と理性を欠く言動」が積み重なっており、その都度、議長や議員から注意してきたものの改善が見られなかったという。

本人も、過去の不祥事に対して「あの時も認識が甘かった。不徳の致すところ」と認めている。

議会は「辞職を強く勧告」 無投票当選議会の信頼にも影響

富谷市 畑山和晴議長
富谷市 畑山和晴議長

12月3日の富谷市議会では、小松議員自身がクマ対策について質問に立つ一方、議会運営委員会は対応を協議していた。

畑山和晴議長は、「市議会議員の職を辞するよう、富谷市議会として強く勧告する」と述べ、議会としての姿勢を明確に示した。

畑山議長から勧告案が上程される見込みであることを伝えられた小松議員は、
「この度はご迷惑をおかけしました。大変重く受け止めております。しかしながら今後の手続きについて全く分からないものですから、説明を聞きながら進めていければと思います。大変深く反省しております」
と発言した。

当選から2年余り。
議会側は、無投票当選という“市政への関心低下の象徴”ともいえる状況で選ばれた議員の不適切行為が、議会全体の信頼を損なうと判断したとみられる。

議長が涙の謝罪 一方で本人は「辞職考えていない」

涙をにじませながら報道陣の取材に応じる畑山議長
涙をにじませながら報道陣の取材に応じる畑山議長

12月10日に開かれた市議会で、辞職勧告決議案は全会一致で可決された。

議会終了後、報道陣の取材に応じた畑山議長は、涙で声を震わせながら「市民の皆さんの信頼を損ねてしまったことが、本当に申し訳ない」と頭を下げた。

辞職勧告決議案の可決後、取材に応じる小松議員
辞職勧告決議案の可決後、取材に応じる小松議員

一方で、小松議員本人は「大変重く受け止めている」としたうえで、「辞職というところは考えておりません」「熟慮して今後検討したいと思います」と話した。

辞職勧告は法的拘束力を持つものではない。
今後の進退については、小松議員本人の判断にゆだねられることになる。

無投票当選と議会の課題

今回の辞職勧告騒動の背景には、富谷市議会が抱える「無投票当選」という構造的な問題がある。

小松議員が当選した2023年8月の市議選では、定数18議席に対し、立候補者も18人にとどまり、全議席が無投票で決まった。
市政への関心の低さと、議員の担い手不足が浮き彫りになった事例と言える。

無投票で誕生した議会で、市民からの信任を得ることなく議員となった新人による不適切行動が繰り返されたことは、議会全体の信頼性や市民の政治参加への意識をさらに悪化させかねない出来事となった。

課題を抱える富谷市議会で起きた今回の問題は、一人の議員の資質にとどまらず、地域の民主主義そのものを問い直す出来事である。
議会と市民が、これを機に政治参加と議員倫理のあり方をどこまで深められるかが、これからの富谷市政の信頼を左右していくだろう。

仙台放送
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