栄養豊富で「海のミルク」とも呼ばれるカキ。
その大量死による被害が深刻化しています。

カキ生産者・伊東聖二さんは、「今年の場合は『あら?生きているカキがあるのかな?』というくらいひどい状態」と話しました。

岡山県内有数の養殖カキの産地・瀬戸内市邑久町。
今シーズンの水揚げが本格化してから2週間ほどたちましたが、これまでにない異常事態が起きているといいます。

カキ生産者・伊東聖二さん:
雨も降らず、海水温がずっと高かったので、早い時期から。「まずいな」とは思っていたがまさかここまでとは思いませんでした。

2021年にこの漁協で水揚げされたカキの映像では、泥や付着物が少なく、カキの殻をはっきり確認できますが、2025年のカキにはたくさん付着してしまっているのがわかります。

養殖期間が比較的長い2年ものと3年ものの9割が死んでいるほか、これまでほとんど被害が出たことがない1年ものにも影響が出ているといいます。

カキ生産者・伊東聖二さん:
“1年カキ”も半分くらいは死んでいるので、今年どうなってしまうのかな、というのが正直な気持ちです。来年は駄目かなという感じですね。

邑久町漁協では、例年この時期には1日当たり7トンから8トンある生産量が2025年は2トンほどとなり、殻むきの作業でも商品として出せるカキがほとんどないようです。

正常なカキと比較すると、色やサイズが大きく異なります。

カキ生産者・伊東聖二さん:
例年だと10個むいたら7~8個は良いカキがむけるが、(今は)10個むいても1個出るか出ないか。子供のころから見てきたが、さすがにこれほどひどいのは全く経験がない。

「(消費者から)『いつも楽しみにしているんです』という言葉を聞くと、どうにかしてあげたいが、どうにもならないので」と、前代未聞の不漁にやるせなさをにじませる伊東さん。

そんな中、岡山県の瀬戸内市は、ふるさと納税を利用した支援をスタート。
支援を希望する人は市のふるさと納税サイトにて1000円から支援が可能となり、返礼品を受け取らず寄付金を届ける形になります。

「海のミルク」を襲う歴史的不漁。
支援の輪が広がる中、早急な原因究明が求められています。