年の瀬を迎えても「コメの価格高騰」が消費者を悩ませています。新米の売れ行きも伸び悩み、このまま価格が下落すると店が「在庫リスク」を抱えるとの懸念もあります。
■新米が売れない…「コメ離れ」の消費者も
街の人ら:
「どうしてこんなに高くなるのと思って。高いなと思いながら買っています」
「上がったなって思います。どうしても買わずにはいられないでしょ、主食だからね」
農水省が12月5日に発表したスーパーのコメの平均価格は、5キロ当たりで前の週に比べて23円高い4335円と、過去最高を更新しました。

街では「コメ離れ」が進んでいるという声も聞かれます。
街の人:
「夕ご飯はずっとお米を食べていたんですけど、そばやパスタやパンにしたりとか。お米が高いから、ちょっと渋るじゃないですけど…」
街の米穀店にも異変が起きています。全国およそ60銘柄のコメを取り揃えている、愛知県岡崎市の渡辺米穀店。例年この時期は、秋に収穫された新米が販売されるはずですが…。

渡辺米穀店の渡辺正明さん:
「鈍いですね。飲食店さんに納品もありますが、すごく静かな感じです。特に新米の動きが悪いですよね」
去年のコメ不足を受けて、新米の仕入れ値が去年と比べておよそ1.3倍に。販売価格も高値が続いています。
渡辺さん:
「例えばこのお米は、令和6年産のスタートが(玄米1キロあたり)580円、今年は880円」
そのため新米が流通しても、消費者の買い控えやより安い備蓄米に消費が回ったため、新米の売れ行きは伸び悩み、在庫が増えているといいます。
渡辺さん:
「農家からの買取価格が思った以上に高くなったので、どうしても下げることができなかった。在庫がいっぱいあるので痛いところですね」
■価格下落も見通しも…米穀店には「在庫リスク」
コメをめぐっては、JAがこんな見通しを示しています。
JA全中の山野徹会長(12月4日):
「令和8年6月時点の民間在庫量は、適正目安とされた水準を大きく上回る可能性もあり、需給は緩和方向にあります」
米の卸売業者らで作る団体が発表した向こう3カ月の見通しでは、基準となる「50」を大きく下回る「32」と、今後は価格が下がるという見通しが強まっています。
今年の新米の収穫量の増加が見込まれていることなどが背景とみられていますが、米穀店の渡辺さんは、高値で仕入れた在庫を抱えたまま価格が下がってしまうのでは…と危機感を抱いています。

渡辺さん:
「相場がじりじり下がってきているので。新米が8年産が安いのは見えているので、それまでにできるだけ在庫は、契約分も含めて売っていきたいとは思っていますけど」
■「おこめ券」配布に批判相次ぐ…独自の支援策も
米の価格がなかなか下らない中、政府は各自治体が自由に使える交付金を拡充して、「おこめ券」の配布を促す方針を示しています。
名古屋市は現状「未定」で、支給額も決まっていないので、おこめ券にするかを含め、使い道は今後決めるそうです。

そんな「おこめ券」には反発の声もあります。大阪府交野市の山本景市長は「おこめ券は500円券1枚あたり60円の手数料がかかり、実際に使える金額は440円分であり、選んではいけない選択肢である」と主張します。
飛騨市の都竹淳也市長も「おこめ券の配布は非常に疑問がある。何をどう支援するかは、自治体の判断であるべき」としています。

東海3県では「おこめ券」を配布した自治体もあります。愛知県日進市は、高市内閣誕生前の今年8月から始めていて、65歳以上の人がいるおよそ1万3600世帯に、500円券を10枚配布しています。予算は8000万円計上し、その中に事務費用などに830万円、1枚あたり60円の手数料でおよそ80万円かかってはいますが、大きな混乱なく進んでいるということです。
ちなみに、「おこめ券」以外の対策を独自に行っている自治体もあります。

三重県桑名市は、高校生までの子供1人につき米2キロを希望者に支給します。「おこめ券は使えるところが限られる」「引き換える手間がある」ということで、市民の利便性を考え、現物支給にしたそうです。
愛知県大府市は、「誰一人取り残さない物価高対策」と銘打って…。
1.子供にお米1人2キロ(高校生まで)
2.農家に現金10万円給付
3.現金5000円給付(19歳以上)(予定)
4.水道料金を半額免除(予定)
これら4つの事業に5億円以上の補正予算を組んだそうです。
