日中関係が冷え込む中でさらなる緊張が走った、中国軍の戦闘機による自衛隊機へのレーダー照射問題。
その発表は日曜日の午前2時過ぎという異例の時間に行われました。

小泉防衛相:
遅くにお集まりいただきまして、ありがとうございます。今回のレーダー照射は、航空機の安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為であります。

レーダー照射が行われたのは6日午後4時半ごろ。
沖縄本島沖の公海で、中国海軍の空母「遼寧」からJ-15戦闘機が飛び立ちました。

領空侵犯を防ぐため、航空自衛隊のF-15戦闘機が緊急発進したところ、レーダーを断続的に照射されたといいます。
さらにその約2時間後にも、別の機体に対してレーダー照射が行われたとしています。

今回行われた「レーダー照射」とはどのようなものなのか。

自衛隊の元統合幕僚長・河野克俊氏は「攻撃する目的でレーダーをあてるのがレーダー照射となります。あとは引き金を引くだけという状況。レーダーをあてられた段階で戦闘行為とみなすのが普通です」と話します。

ミサイルを誘導するための「レーダー照射」は、いわゆる「ロックオン」の状態。
発射ボタンを押すと照射された先にミサイルが飛んでいくという危険な状態にありました。

不測の事態にもつながりかねないというレーダー照射。

7日、被災地の能登半島を視察していた高市首相は「冷静かつ毅然(きぜん)と対応してまいります」と述べました。

一方、日本側の発表を受けて、中国側も7日午後に談話を発表し、「自衛隊機が複数回、訓練海域と空域に接近して妨害し、飛行の安全を著しく脅かした」などと反論しました。

しかし、レーダー照射については、あったかどうかも含め触れませんでした。

一夜明けた8日、木原官房長官は「自衛隊は安全な距離を保ちながら対領空侵犯措置の任務にあたっていたと報告を受けており、自衛隊の航空機が中国の航空機の安全な飛行を深刻に阻害したとの中国側の指摘はあたりません」と述べました。