恐竜たちを活用して街づくり

体長10メートルはあったといわれる恐竜「ティラノサウルス」。

提供:長崎市教育委員会
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大ヒット映画の主役にもなった最強の肉食恐竜だが、観光の街・長崎市では、かつて地上に君臨したこの恐竜たちを活用した街づくりの動きがホットな話題になっている。

こちらは、例年人気を集めている「恐竜」をテーマにした「2020ながさき恐竜ミュージアム」のイベント。

会場のJR長崎駅前には、大きな爪と鋭い牙を持つ肉食恐竜のレプリカも展示され大盛況となった。

また、イベント期間中に長崎大学で行われた特別授業では、子どもたちが「ティラノサウルス」の骨格標本に夢中になっていた。

専門家も太鼓判「恐竜の化石の宝庫」

実は今、長崎市は、多種多様な「恐竜の化石の宝庫」として世界中の研究者の注目を集めている。
そのきっかけになったのが、2014年に国内で初めて発掘された大型のティラノサウルスの歯の化石だ。

このニュースは、イギリスのメディアBBCでもいち早く報じられていて、化石研究の第一線で活躍する専門家もその価値に太鼓判を押している。

福井県立恐竜博物館・宮田和周主任研究員:
九州には白亜紀前期、白亜紀後期の地層がある。白亜紀後期の中でもユニークな恐竜たちが資料として見つかっているのが長崎

このため長崎市は「ここでしか見られない恐竜」をテーマに、2021年10月には野母崎エリアに「恐竜博物館」をオープンする予定。
地元での化石ブームは、これからさらに高まりそう。

化石発見につながった3つの幸運

ところで、なぜ長崎で貴重な化石の発見が相次いでいるのか。
専門家は、3つの幸運があったと指摘している。

まず長崎市内には、伊王島や高島、軍艦島として知られる端島など海底炭坑がいくつもあったことが挙げられる。

石炭は、もともと植物が堆積してできたものだが、長崎の石炭層の下には、化石が含まれる「三ツ瀬層」という地層が広がっている。
しかもこの地層は、トリケラトプスやティラノサウルスといった注目度の高い恐竜たちが生きた白亜紀後期のもので、まさに「恐竜の化石の宝庫」とも言えるものだ。

第二に、当時の長崎に生き物が集まる川があったことだ。
陸上で死んだ恐竜は、ほかの恐竜に食べられてしまう。しかし川で死んだ場合は、死骸の上に土砂が積もって化石として残る可能性が高まるといわれている。

そして、第三に「地殻変動」だ。
「三ツ瀬層」は、本来は深いところにあったが、長い年月とともに力が加わって偶然、地表に出てきた。そのため長崎では、地下深く掘らなくても化石を発掘できる好条件が整った。

「恐竜王国誕生」へ 関係者も期待

開館予定の恐竜博物館は、研究拠点としても重要だが、観光面でも大きな波及効果が期待されている。

例えば、県立の恐竜博物館を持つ福井県では、2000年のオープン以来、毎年のように入館者数を伸ばしていて、2019年度は90万人を突破した。

長崎市の代表的な観光施設「グラバー園」の入場者数が、2019年は約85万人ということを考えれば、いかに福井県での恐竜人気が高まっているかが分かる。

長崎市では、恐竜博物館の目的の1つに地域振興を掲げ、恐竜だけでなく、地域を丸ごと楽しんでもらえるような施設にできればと考えている。
博物館の内部には、飲食店などを設けず、周囲の店舗に観光客が流れるようにする計画だ。
また、周囲の公園整備なども進めて、地域のコミュニティの場としての活用も検討している。

軍艦島などの産業遺産や潜伏キリシタン関連遺産など、数多くの世界遺産を抱える長崎市で、今よみがえる太古のロマン…
世界に誇る恐竜王国の誕生に向けて、ファンや関係者の期待はヒートアップしている。

(テレビ長崎)