名古屋駅前で繰り広げられた企業対抗の綱引き大会。昼休み1時間の真剣勝負に集まった55チームが力と団結を競い合いました。中でも去年準優勝のTOTOと王者プルデンシャル生命の熱い挑戦は、職場の垣根を越えた交流を生み、思わぬドラマへと発展します。
■企業対抗綱引き大会…TOTOの挑戦
2025年秋、正午の名古屋駅前。必死に綱を引く大人たちと大声で応援する大人たち。足を滑らせて尻もちをつきながらも懸命に綱を引く姿もあります。

開催されたのは「名古屋駅地区綱引き大会2025」。2回目となる今年は55チームがエントリー。名駅地区の5つのビルごとに予選を行い、10チームが決勝大会に進みます。
名古屋駅地区街づくり協議会の石井昭博さん:
「隣のビル同士で顔合わせないこともあるので、近所同士で集まって盛り上がってもらえれば」

職場対抗のため、実施されるのは昼休みの1時間。予選会で、ひときわ気合いの入ったチームが、大名古屋ビルヂングにオフィスを構えるTOTOです。
去年準優勝のTOTOは、屈強な男性社員を増やしリベンジに燃えています。予選会を1位で突破し、決勝へ駒を進めました。
城内里帆さん:
「1カ月練習を重ねて。去年は準優勝だったので優勝します」

入社2年目の最年少メンバー・城内里帆さん(23)は、法人営業担当。出場のきっかけは…。
城内さん:
「昔はソフトボールと人力車をやっていました。体育会的な女性が私しかいなくて」
各チーム6人のメンバーのうち女性の参加が必須のため、新入社員だった去年オファーが来て、2年連続で出場しています。

城内さん:
「話したことがなかった方にもお声をかけてもらえるようになって。すごくいいイベントと思います」
若手社員の城内さんにとって、綱引きが交流のきっかけになっています。
■「TOTO×プルデンシャル」…合同練習と交流
去年TOTOチームは、ほぼ練習せず“ぶっつけ本番”で準優勝を勝ち取りました。リベンジを誓う今年は、会議室での練習に加え、仕事終わりにも練習を行います。

練習相手は、去年の決勝でTOTOを破り優勝したプルデンシャル生命保険。去年の決勝で優勝争いをしたことから交流を持つようになり今回合同で練習をすることになりました。

用意した綱は大会に使われているものと太さや長さが同じもので、TOTOがリベンジのために1カ月1万5000円で借りました。プルデンシャルチームと練習試合を行いますが…。
TOTOの監督:
「終了。TOTOチーム相手になりません」
「利き手を前にして上を向く姿勢に全員が揃える」。プルデンシャルのメンバーは姿勢のコツを丁寧に伝授します。

TOTOのメンバー:
「さっきより力が入りやすくなった」
TOTOチームに手ごたえがあったようです
TOTO城内さん:
「ためになりました。姿勢を低く空を見る感じで、いつもより引けているかなと思いました」
練習を通じてお互い会話も弾み、世代を越えた交流も広がります。

プルデンシャルチームのキャプテン・小林紀仁さん(44)は、普段は支社の営業所長を務めています。
小林さん:
「仕事以外でも盛り上がれる。去年優勝した時は久しぶりに興奮した」
プルデンシャルチームは9つの支社からメンバーを集めています。支社をまたいだ交流は普段はないと小林さんは話します。

小林さん:
「綱引きがあると、一致団結じゃないですけど、いろんなコミュニケーションとってやれるのでいい機会」
■決勝大会・波乱の準決勝
11月13日、いよいよ決勝大会。10チームが激突し、優勝を争います。
優勝候補のプルデンシャル生命の初戦は、トヨタエンタプライズ。前年王者の意地を見せ、勝利を掴みます。そしてTOTOの初戦は予選会の決勝で倒した因幡電機産業。予選会からの成長をみせ、なんなく勝利と思いきや…。

TOTOメンバー:
「予選の時より強かった」
別のTOTOメンバー:
「きついっす」
TOTOとプルデンシャルは、次の準決勝をお互い勝ち進めば、決勝戦で相まみえることになります。

プルデンシャルの相手は、相撲部とラグビー部を集めたダークホース・豊田通商。激しい攻防の末に前回優勝のプルデンシャルが準決勝でまさかの敗退。

小林さん:
「強かったですね。頑張ってほしいです。応援します」
そしてTOTOの相手は屈強なメンバーが揃うオープンハウス。ライバルから教わった「全員の姿勢を揃える」ことを意識し踏ん張りますが、オープンハウスにどんどん引っ張られ、惜しくも敗戦です。

城内さん:
「えぐい」
TOTOメンバー:
「強すぎます」
別のTOTOメンバー:
「出し切ってこれでした」
結果、優勝はオープンハウスでした。
プルデンシャル生命の小林さん:
「正直悔しいですけど、たくさん準備しましたし、一生懸命やりました」
TOTOの城内さん:
「来年も出ます。優勝します」
敗れてもなお、綱がつないだ絆が次への力になります。
