ウズベキスタンで開かれているワシントン条約締約国会議で、ニホンウナギを含む全種の国際取引規制案が採決され、反対多数で否決されました。日本は輸入依存度が高く、価格高騰への懸念から否決に向け働きかけていた。鈴木農水相は「多くの国から理解を得た」と評価する一方で、11月5日の再投票で可決されれば、最終的に採択されるため、まだ安心はできない状態が続く。
「食文化の衰退が心配」規制強化で価格上昇の可能性も
ウズベキスタンで行われている国際会議での注目は、「ウナギ」に対する規制強化だ。
日本としては規制の否決に向け、各国に最後まで働きかけたが、その結果はどうなったのか。

かば焼きの甘辛い香りが食欲をそそるウナギ。
お昼時のウナギ店では、27日も多くの人が焼きたての味を楽しんでいた。

そのウナギを巡り27日、ワシントン条約の締約国会議で注目の採決が行われた。
議案は、ニホンウナギを含むウナギ全種類を国際取引の規制対象にするかどうかというものだ。

日本で消費されるウナギの約7割は輸入物で、輸入元のほとんどが中国。
今回の規制案が採択されれば、輸出に許可書が必要となってコストが上乗せされ、価格の上昇につながる可能性が指摘されている。

うなぎ屋江戸名代亜門根津総本店・中村和彦店長:
うちはすべて中国産のウナギを使っています。仕入れ値が100円、200円上がっただけでも店の経営的には結構ダメージあります。

比較的リーズナブルな価格でうな重を提供している「うなぎ屋江戸名代亜門根津総本店」。
週に2回ほど通うという常連客は「5割ぐらい上がることがあれば大変困る」「ウナギ好きの人間としては、もう500円以上上がってもらいたくない」と値上がりを危惧している。

ウナギの名産地、静岡・浜松市では27日、浜名湖で育った親ウナギの放流が行われました。
放流は漁協や専門店が14年前から続けていて、関係者からは「規制強化による食文化の衰退が心配」との声が聞かれた。
「ほっとしている」ウナギ取引規制案は“否決”
多くの不安が渦巻く中で採決が行われたウナギの取引規制案。

投票の結果は、反対多数による「否決」だった。

この結果に株式会社海老仙の加茂仙一郎代表は「まずはほっとしている。すごく心配していた部分について否決となって本当に良かった」と話した。

ただし、11月5日の本会議で再投票が行われ可決されれば、最終的に採択されるため安心はできない。

国産をはじめ、中国産や台湾産のニホンウナギを扱うウナギ問屋直営店「うなぎ新川」の西勝光治社長は「採決が不発に終わって否決されたとしても来年、再来年と毎年出してくると思う。限りあるものがどんどん減っていくことへの警鐘だろうから」と指摘する。

ウナギ規制案の否決を受け、鈴木農水相は午後5時過ぎに会見し、「関係省庁がしっかりと連携をして関係各国に働きかけを行ってきた成果として、多くの国から理解を得たと評価している。この結果はまだ最終的なものではないので、引き続き緊張感を持って万全の対応を現地でも行ってほしい」と述べた。
(「イット!」11月27日放送より)
