秋田で深刻化するクマ出没は、もはや「災害」レベルで市民の日常を脅かしています。

秋田テレビのアナウンサーが語る現地の恐怖や、市の中心部で「我が道のように」歩くクマの実態をリポート。

経済への影響や、短期・長期的な対策の必要性まで、前代未聞の危機に迫ります。

■繁華街にまで出没、民家や市の中心部にも

秋田市では3連休最終日の月曜日、中心部の公園で体長1メートルほどのクマが目撃されました。

翌日には秋田市の住宅街でクマが民家におよそ4時間居座る事態となり、市が緊急で麻酔銃による緊急銃猟を実施し、その後捕獲されました。

クマが居座った家の住民は「クマがそっちの方に行ったから気をつけてって言われて、えっと思って窓から見たらここにいたんですよ」と驚きの様子。「結構大きかった。襲われたら大変だと思いますよ」と恐怖を語っています。

さらに北海道苫前町では体長1.9メートル、体重380キロという巨大なクマが箱わなに捕獲されました。捕獲に関わった猟友会の林さんは「今まで私がわなでとったクマの中では最大。お尻とかおなかの毛が、鉄筋からはみ出しているくらいですから」と、その異例の大きさを証言しています。

■秋田テレビも目撃現場に 佐藤アナウンサーが語る現地の恐怖

こうした状況について、秋田テレビの佐藤愛純アナウンサーは地元の住民が日々感じる恐怖と日常の変化を語ります。

【秋田テレビ 佐藤愛純アナウンサー】「本当に日常的にどのように行動したらいいのか分からないと、私個人としても思っています。散歩だったりランニングをする人の姿も減ったなと感じます」

佐藤アナウンサーの勤務先である秋田テレビの近くでも、最近クマが目撃・捕獲され社員の間にも衝撃が走ったといいます。

【秋田テレビ 佐藤愛純アナウンサー】「私の勤めているところの近くには秋田市役所、県庁もある本当に秋田市の中心部なんですね。そこでおととい=25日、クマが捕獲されました。歩いて50メートルくらいの本当に近いところです。徒歩で通勤をする社員も多いので、この道も使っている人がいる」

さらに、秋田テレビの情報カメラには、運動公園の駐車場を「我が道のように悠々と歩く」クマの姿が映っていました。早朝とはいえ明るい時間帯で、歩行者もいる状況です。こうした状況から、朝のラジオ体操なども中止になっているといいます。

■経済にも影響、「災害レベル」の危機感

クマ出没問題は市民の安全だけでなく、地域経済にも影響を及ぼしています。

秋田の繁華街「川反(かわばた)」のスナックでは、店のママが「コロナ禍のようにお客さんが減ってしまった」と嘆いています。

また、秋田の有名温泉の近くでクマに女性が襲われた事件の影響で、旅館へのキャンセルも出ており、年末に向けた観光業への打撃も懸念されています。

元毎日新聞記者でノンフィクションライターの石戸諭さんは「もはやこれだけ被害が継続しているなら、災害と同等に位置づけるべき」と意見を述べました。

国の補正予算にもクマ対策が計上されることが決まっています。

■短期的対策と長期的ゾーニングの必要性

佐藤アナウンサーは今後の対策について「本当にたくさん被害が出ているので、私たちの市民の命とそして生活をどう守ってくださるのかというのと、これから先は、生存域の住み分けもしっかりと進めていただきたい」と語り、短期的な安全確保と長期的な「ゾーニング」の両面からの対策を求めています。

石戸諭さんも「少なくとも、今年と来年くらいまでは、短期的に解決できる話ではない」とし、来年いっぱいまでの対策レベルを上げていく必要性を指摘しています。

秋田を中心に深刻化するクマ出没問題。人の生活圏に「怖がらずに」入り込むクマの姿は、人間とクマの共存という難しい課題を突きつけています。

市民の安全を確保しながら、長期的な対策をどう進めていくのか。今後の対策に注目が集まります。

(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2025年11月27日放送)

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