2013年、「餃子の王将」の運営会社の社長が射殺された事件の初公判が、26日午後に開かれ、特定危険指定暴力団工藤会系組幹部の田中幸雄被告(59)は起訴内容を否認し”無罪”を主張しました。

田中被告は2013年、何者かと共謀し、王将フードサービスの社長だった大東隆行さん(当時72歳)を射殺した殺人などの罪に問われています。

現場近くで見つかったたばこの吸い殻のDNA型が田中被告のものと一致したことなどが逮捕の決め手となりましたが、吸い殻や乗り捨てられたバイクは見つかったものの、自白や目撃証言はなく、いわゆる「間接証拠」のみとなっています。


■同じDNA型の”吸い殻2本”を押収 後に田中被告のDNA型と一致

「直接証拠」がない中、どのように検察側は立証しようとしているのでしょうか。

以下は、検察側が公開した冒頭陳述要旨です。

本件当日である2013年12月19日午前6時58分頃、被害者の知人が、前記駐車場で倒れている被害者を発見して110番通報した。

間もなく通報に基づいて警察官が現場に臨場して本件の捜査が開始され、午前7時40分頃から、本件現場の実況見分が開始された。この実況見分により、午前9時頃、通路の中で外部からは視認しにくい位置である別館東側通路中央付近において、吸い殻2本が発見、押収された。

吸い殻2本に対する鑑定の結果、吸い殻2本の各フィルター部分に唾液が付着していること及びその唾液のDNA型がいずれも同一のDNA型であることが判明した。

もっとも、この時点では、警察において、本件DNA型に一致するDNA型の者は把握されておらず、後に、本件DNA型が被告人のDNA型と完全一致することが判明した。

■報道の中「息をひそめて行動しろ」と携帯に保存

2014年1月9日、事件から半年経過したことや「逃走車両か、バイク押収」などと報道される中、被告人は、同日、自己使用の携帯電話のメモ機能を利用して、「見張りを怠ってはならない。警戒を解いてはならない。常に用心を怠らないこと。

だからといって怯えすぎないこと。目立つことはするな。息をひそめて行動しろ。深海魚のように人知れず泳ぎ回れ」などと保存した。

■「京都にいる」数日後に「福岡県に戻っている」と知人に電話

京都市山科区内に設置された防犯カメラ映像を精査したところ、本件発生前日である2013年12月18日,フルフェイスのヘルメットをかぶって傘を差した人物が現れ、しばらく立ち止まった後、立ち去る状況が撮影されていた。

その人物の身体体格等は被告人と矛盾せず、被告人の歩容(歩き方)の特徴とも類似していた。

また、被告人は、2014年1月14日より前の時期に、知人からかかってきた電話に、「今京都にいる、忙しい」旨発言して電話を切り、数日後、知人からの電話に「もう福岡県に戻っている」旨発言し、さらに数日後、知人からの電話に対し、「京都にいる」旨発言した。             

ここまで冒頭陳述を抜粋しました。

■田中被告は”無罪主張”

26日の初公判で田中被告は、起訴内容について問われると、こう力強く答えました。

【田中幸雄被告】「私は決して犯人ではありません。任侠の志として濡れ衣の一つや二つ、甘んじて受け入れます。だからと言ってセンセーショナルな事件まで到底承服できない」

公判は全12回で、来年の3月23日まで証拠調べが続き、来年6月29日に結審、10月16日に判決を迎える予定です。

関西テレビ
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