沖縄戦や海外へ渡った移民など沖縄が歩んできた歴史から、これからの平和について考えるシンポジウムが23日浦添市で開かれました。

シンポジウムは戦後80年、そして、沖縄・ハワイ移民125年の今年、ウチナーンチュの先人たちが歩んだ様々な苦難の道を振り返り平和の継承について考えようと開かれたもので、玉城知事をはじめ作家の下嶋哲朗さんなどが登壇しました。

玉城知事:
私たちは海外に移民した先人たちが経験した差別、迫害の歴史や、沖縄の戦後復興のために立ち上がった海外の先人たちがいることを決して忘れてはならないと思います

玉城知事は80年前の沖縄戦でウチナーグチで投降を呼びかけ住民の命を救い、戦後は食糧難にあえぐ沖縄に豚550頭を送り届けたハワイの県系2世比嘉トーマス太郎の功績に触れ、世界中のウチナーンチュの温かい心が沖縄の復興を支えてきたと振り返りました。

長年にわたり沖縄戦や移民についての調査を行ってきたノンフィクション作家の下嶋哲朗さん。

異国の地に移り住んだウチナーンチュがあらゆる苦難や差別に直面しても、憎しみではなく思いやりへと変えてきたことが平和の精神を今につないだのだと話します。

作家・下嶋哲朗さん:
『憎さある人ん憎さどぅんするな肝ぬ道すじや広くあきり』名護親方の言葉です。憎むのではない、受け入れよ。これこそ平和な沖縄の核心ではないでしょうか。私が沖縄移民から学んだ結論はシンプルです。平和とは思いやりを行動に移す勇気であり、その勇気を受けた側がまた誰かを思いやること。平和の連鎖、伝承です

そして、報道の立場から世界のウチナーンチュの姿を広く取材してきた元沖縄テレビアナウンサーの前原信一さんは、県系人との活発な交流が沖縄のアイデンティティを再び呼び起こすと話します。

元沖縄テレビアナウンサー前原信一さん:
彼らを通して、沖縄らしさ、そしてチムグクル、沖縄の心を再認識して共有して、交流を通じて平和な沖縄をつくっていこうという気概がネットワークをつくる中で生まれてきたのではないかと感じる

このほか、基調講演に登壇したイラン出身の俳優サヘル・ローズさんは、イラン・イラク戦争で家族を失い、戦争孤児となった経験から平和の尊さについて語りました。

サヘル・ローズさん:
教科書を開くと、その国から見た視点で歴史が語られていく。そのことによって隣国に対して対立構造、ヘイトがどの国でも蔓延していきます。知ろうとしないことが一番私は今世界的にも問題だと思っています

ローズさんは、人と人の間に考えの違いがあることは当然であり、壁をつくることなく多様な意見を認め合うことが次の世代を戦場に送り出さない一歩なのだと力を込めました。

沖縄テレビ
沖縄テレビ

沖縄の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。