顧客から預かった1000台の車検時にブレーキ検査などを実施せずに「適合証」を出していたとして、北海道運輸局が11月21日、札幌市東区の自動車ディーラーの「指定自動車整備業者」の指定を取り消しました。自動車検査員の40代男性1人の解任命令も出しています
指定自動車整備業者の取り消し処分を受けたのは、札幌市東区の自動車ディーラー「レクサス東苗穂」です。
北海道運輸局によりますと「レクサス東苗穂」の運営会社「札幌トヨタ」が2025年5月8日、車検に不正があったと自己申告しました。
調査対象は2022年4月から2025年4月までの3年間で実施した1639台分で、このうち1000台が車検の最後に行うブレーキの検査をしていませんでした。
ブレーキの検査は「完成検査」と呼ばれるブレーキの効き目などを確認する車検の最終工程で行われています。
この検査を担当する自動車検査員の40代男性は「完成検査」時に定められているブレーキ検査を行わず、車を受け入れたときに検査したデータを終了時の検査データに流用していました。
「レクサス東苗穂」では車検業務は3人の検査員が実施していますが、「完成検査」は40代男性が1人で担当していて、男性は「忙しくて省略した」と話しています。
北海道運輸局は「故意に検査の一部を実施せずに適合証を交付した」などとして、道路運送車両法違反として、「レクサス東苗穂」の「指定自動車整備業者」の指定を取り消しました。
合わせて自動車検査員の40代男性1人の解任命令も出しました。
会社側は北海道運輸局に「受注管理が行き届かず業務過多になった」と話しています。
ただ、北海道運輸局によりますと、40代男性が担当した台数は「1人で取り組むのに過多ではないだろう」ということです。
今後、「レクサス東苗穂」は2年間、新規の指定自動車整備業者の申請はできません。
申請しても指定まで数か月かかるため、「レクサス東苗穂」は少なくとも2年数か月は車検業務を行えなくなります。
「レクサス東苗穂」はホームページに「整備業務の増大に伴い工程管理の形骸化が一因。重大な経営課題として受け止めている。心より深くおわび申し上げます」とコメントを掲載しています。