21日午後1時ごろに高市政権で初めてとなる経済対策が閣議決定したわけですが、その一方で円安が加速しています。
円安になるとさらなる物価高になってしまう可能性もありますが、そんな中、為替介入の話も出てきています。
このニュースについて、智田裕一解説副委員長と見ていきます。
遠藤玲子キャスター:
21日に閣議決定された経済対策の主なものは、電気・ガス料金の補助だったり、子供1人当たり2万円の給付などがありますが、規模としては合計21兆3000億円程度と前年の5割増しの規模ということなんですね。物価高対策に重きを置きたい経済対策なんですが、その一方で、円相場の最近の動きを見てみると、高市政権発足後多少の上下はありますが円安が加速している状況になっています。
青井実キャスター:
智田さんにいろいろ聞いていきたいですが、まず円安について。なぜ進んでいるとみますか。
フジテレビ・智田裕一解説副委員長:
21日に決定された政府の経済対策、これは大規模ですよということなので、国の借金が膨らんで財政が悪化するリスクが意識されて、円が売られる動きになっているわけですね。
青井実キャスター:
最近の日中の動きはどうなんでしょうか。
フジテレビ・智田裕一解説副委員長:
日中関係の悪化も日本経済を巡る不透明さを増す要因になるので、円にもマイナスなんじゃないかという見方は出ています。
青井実キャスター:
あとは年末年始ですけど、皆さん気になるのが物価高。円安になると物価高になってしまう。気になる方多いと思いますが。
フジテレビ・智田裕一解説副委員長:
21日に10月の消費者物価指数発表されたんですが、2カ月連続で上げ幅は広がったと。これから年末年始「おせち」なんかで使う食材でも上げ幅が目立っていると。今後、円安が続くと輸入品を中心に食品の値上がりがさらに強まって、家計負担が重くなっていくと。そんなことが心配されます。
遠藤玲子キャスター:
物価高対策のための経済対策のはずが、逆に物価高に拍車を掛けてしまっている状況になるかもしれないんですが、そんな中、21日に注目の発言がありました。片山財務相が「為替介入は当然考えられる」という発言をしました。その発言を受けて、一時1ドル=157円台前半と円高に進行したんですが、その後は再び157円台半ば円安に。そして、現在は157円台前半となっています。
青井実キャスター:
この発言ですが、経緯も踏まえて智田さんどう読み解きますか。
フジテレビ・智田裕一解説副委員長:
片山財務相は実は19日に城内経済財政担当相と一緒に日銀の植田総裁と会って意見交換しているんですね。その会談のあとに、片山財務相が「為替について具体的な話は出なかった」とおっしゃっていました。その発言を受けて、政府・日銀が円安の是正には動かないんじゃないかという観測が強まって、円安がさらに加速したというのが2日前の話なんですね。2日後、21日になって片山財務相は「為替介入は当然考えられる」と述べたわけで、今回は為替介入の可能性をにおわせることで、円安の動きをけん制しようとしたんじゃないか。そういうふうに捉えていいと思います。
青井実キャスター:
どうなんですかね、円安が加速していきます。止めるすべはないのかというその辺りはどうでしょう。
遠藤玲子キャスター:
智田さんによりますと、なくはないということなんです。例えば経済対策の規模を下げる、本当に為替介入をする、日銀が利上げをするなどがあるということなんですが、この3つ実現可能性はどうなんでしょうか。
フジテレビ・智田裕一解説副委員長:
規模は21日に決まっていますから、これはいじれないですよね。為替介入ですが、今回は根強い財政悪化への心配というのが円売りを促しているので、それが解消されていないところでいくら介入してもこの円売りの流れの反転を長期的にキープできるかどうかという問題がありますね。そして、利上げですね。日銀が政策金利を上げる利上げを行えば、円は買われて、円高に向かわせる大きな材料になるんですが、ただ高市首相は景気を支えるためにお金が借りにくくなる利上げには慎重だとされているので、日銀が金利を上げる、利上げのハードルというのはなかなか高いんじゃないかという見方があります。
青井実キャスター:
さっきの3つ見せてもらいましたが、これはなかなか厳しい中、どうしていけばいいのかと。
フジテレビ・智田裕一解説副委員長:
これから税金、税制をめぐる議論が本格化するんですね。ガソリンの暫定税率は廃止されることになったんですが、財源をどうするのかというのが宿題になっている。あと年収の壁をどういうふうに引き上げていくかというのも大きな論点ですよね。財源をどうするかという問題を先送りしないで、高市さんの言う“責任ある積極財政”を打ち出せるかが大きな税制を巡る論議での試金石になるかなと思います。
青井実キャスター:
積極財政じゃなくて責任のある積極財政と。野村さん、これはどう見ます?
中央大学法科大学院・野村修也教授:
今回の経済対策実は3つ柱がありまして、物価高対策の他に投資を増やす、さらには防衛費増強というのがあるんですが、防衛費の問題は実は軍民共用の投資というのが可能なんですね。例えばAIとかそういう分野というのは、軍事費とみることもできるんですが民間の投資にも使える。問題はその投資をうまくやって、何とか税収が戻ってくるような投資ができるかどうか。ここがもう1つ大きな試金石になってくるのかなという気がしますね。