11月15日に開幕した聴覚障害者の国際スポーツ大会「東京デフリンピック」開閉会式で長野県長野市の長野日大高校3年生・西澤志成乃(しなの)さんが聴覚障害のないパフォーマーに選ばれました。幼いころから手話とダンスを学んできた西澤さんにとって夢の舞台です。
■日本初開催「東京デフリンピック」
熱戦が繰り広げられている「東京デフリンピック」。「デフリンピック」は4年ごとに開催される聴覚障害のある人たちの国際スポーツ大会で、初めて日本で開催されています。
15日の開会式、聴覚障害がないパフォーマーとして舞台に立った長野市の高校生がいます。
西澤志成乃さん:
「皆さん、こんにちは。私は長野日本大学高等学校三年の西澤志成乃です」
手話を交えて自己紹介するのは、長野日大高校3年生の西澤志成乃さんです。
自身に聴覚障害はないものの子どもの頃から手話とダンスを学んできた西澤さん。「デフリンピック」は夢の舞台でした。
西澤志成乃さん:
「ステージに上がったらすごく楽しかったし、頑張って練習してきて良かったなと思いました」
■手話とダンス 表現の「共通点」
西澤さんは5歳からダンス教室に通いヒップホップやジャズダンスなどに親しんできました。
また、聴覚障害者と出会う機会が多かった父親の影響で、手話に興味を持ち小学2年生から独学で学び始め簡単な日常会話ができるようになりました。
西澤さん:
「ダンスも手を使って表現することもあるし、手話も手を使って表現するからそこで共通する部分があったので、それが楽しくて。これを使っていろんなところで話ができたらいいなと思うようになって」
■中学時代の経験から「いつか一緒に」
中学校時代に忘れられない出来事があります。母校・柳町中学校は長野ろう学校と交流を続けていて、西澤さんは3年の運動会の時にろう学校の生徒と一緒に踊ろうと他の生徒たちにある提案をしました。
西澤さん:
「手話を含めたダンスやったらどうかとクラスで提案したんですけど、多数決で手話とダンスの企画ができなくなってしまって。聴覚障害者には大事なものなのに、あまり手話に深く興味がないのが悲しいなと思って」
いつか聴覚障害者と一緒にダンスを披露したい―。
高校でもダンスを続けていた西澤さんは2025年5月、インターネットで偶然、デフリンピック開閉会式の演者のオーディションを見つけすぐに応募。中学時代の悔しさも書類につづり、見事、全国161人からパフォーマー9人の1人に選ばれました。
■「3年越しの夢」をかなえる
開会式では1924年に第1回大会が開かれたことから100年の歴史などを表現。西澤さんは聴覚障害者と共に出演し、終盤では赤い衣装で得意のダンスも披露しました。
西澤さん:
「3年越しにろうの方と一緒に踊る機会があって、すごくよかった」
「3年越しの夢」をかなえた西澤さん。今後もダンスと手話を続け、聴覚障害者と一緒に踊る演出を手掛けることが次の夢となりました。
26日の閉会式にも出演する予定で、今は練習に励んでいます。
西澤さん:
「閉会式ではもっと選手のみなさん、見てくれる皆さんを盛り上げるダンスをしたいと思っています。頑張ります」