ゴミ箱がない…外国人旅行者が困り果てるゴミの捨て場所問題。

「ゴミ箱がないのよねえ。ゴミ箱が」毎週金曜日に行われる定例会見で小池都知事が小さな声でそうぼやいた。
ゴミを捨てたいけど、ゴミ箱が見当たらない。そういう経験をした人は都内で少なくないと思う。

都庁にも、ゴミ箱を設置してほしい、ポイ捨てされたゴミがある、外国人観光客によるポイ捨て問題などのポイ捨てゴミ問題に関連する声が寄せられている。

環境省が2024年に発表したポイ捨てに関する調査結果によると、(2023年度「ポイ捨て」に関する報告書 環境省 2024年3月)ポイ捨てされることが多い物の種類は、空き缶とペットボトルが22%で同率首位。その他としては、マスク、弁当ガラなどだった。

ポイ捨てされることが多い場所は、山道、山林、幹線道路、公園などだ。

ポイ捨てゴミの回収方法は、ボランティアによる回収が約29%、自治体直営が約27%、そのほかには土地の管理者などだった。

ゴミのポイ捨て問題は、各地で深刻化しており、浅草など、外国人観光客の人気スポットを抱える台東区では、ポイ捨て防止策として、持ち帰り用ゴミ袋の配布を行ったことがある。

もちろん自宅から持ち出したゴミは自分の家に持ち帰って廃棄すべきだと思うが、日本に旅行で訪れている外国人はどうだろう。

その日に宿泊予定のホテルに戻るまで、廃棄する場所がないことになる。

日本人も外出先でのどが渇いたり、おなかがすいた場合、ペットボトルやおにぎりを購入して外出先で飲食する場合があるが、その後ゴミとなった包装紙やペットボトルはどうしたらよいのだろうか。

おにぎりだけではない。

ファストフードが充実している国内では、ハンバーガーやクレープ、大手コーヒーショップチェーンなどでテイクアウトするプラスチック容器に入ったアイスコーヒー、ケバブ、団子なども。

こうしたものは、食べたり、飲んだりしたあと、どこに捨てればよいのだろうか。

遊びにいった公園にゴミ箱があれば捨てられるが、買った店にまで戻って廃棄してもらうか、自分の家に持ち帰るしかないのだ。

東京メトロ、都営地下鉄はテロ対策のため、駅構内にゴミ箱を設置していない。

道路に面して設置された自動販売機にも、リサイクルボックスが設置されていないところもある。

これは、販売業者が置きたくても、地権者がゴミ箱の設置を嫌がることがあるためだそうだ。

東京都環境局資源循環推進部計画課 荒井 和誠 担当課長に聞くと次のような回答であった。
「ゴミは、商品を消費してゴミ化させた消費者が処理する責任を負う」つまり、コンビニやスーパーで販売されているおにぎりやパン、ペットボトル飲料は誰かに購入されるまでは商品であるが、購入者が食べたり、飲んだりしたあと、残った包装紙や空のペットボトルはゴミであり、商品をゴミにしたのは、消費者であるため、「ゴミの処理は消費者の責任となる」というのである。

たしかに理にかなっているが、それで本当に良いのだろうか。

外で食べたり、飲んだりするだろう商品を販売する店がテイクアウト後に発生するごみについてもう少し考える必要があるのではないか。

ゴミの回収と処分には費用が発生する。

自治体によっては、ゴミをポイ捨てした場合、最大100万円の罰金を科す自治体も環境省によるとあるという。

全国的にみると、約6割の市区町村でポイ捨てを規制する条例が制定されている。

都道府県別でみると、制定の割合がもっとも多いのが栃木県で、次に香川県、逆にもっとも制定の割合が少ないのは、岩手県だった。

条例以外にも、ポイ捨て防止対策として、原因者を特定するためにカメラを設置したり、ポイ捨てを躊躇させるためにミニ鳥居を設置したところもあるそうだ。

(フジテレビ報道局社会部 都庁担当 大塚隆広) 

大塚隆広
大塚隆広

フジテレビ報道局社会部
1995年フジテレビ入社。カメラマン、社会部記者として都庁を2年、国土交通省を計8年間担当。ベルリン支局長、国際取材部デスクなどを歴任。
ドキュメントシリーズ『環境クライシス』を企画・プロデュースも継続。第1弾の2017年「環境クライシス〜沈みゆく大陸の環境難民〜」は同年のCOP23(ドイツ・ボン)で上映。2022年には「第64次 南極地域観測隊」に同行し南極大陸に132日間滞在し取材を行う。