11月18日、大分市で発生した大規模火災。一夜明けた19日、「サン!シャイン」は火災現場を取材。被害の大きさが見えてきました。

住宅密集地で発生した火災により、建物170棟以上が燃え、少なくとも約4.9ヘクタールが延焼。現場は、火災発生から20時間以上たった19日も、いまだ煙が立ち上っていました。

さらに、取材当初は白い煙だったものが、途中から黒煙に変わり、発生から約40時間経過した現在(20日)も、いまだ完全な鎮火には至っていません。

火元とみられる住宅の焼け跡からは、性別不明の人が心肺停止の状態で見つかり、その後、死亡が確認されました。警察は、連絡が取れなくなっていた、稲垣清さん(76)の可能性が高いとみて、身元の確認を急いでいます。
現場に貼られた規制線の内側から戻ってきた夫婦に話を聞いてみると…。

規制線の内側から戻ってきた夫婦:
(妻の)実家です。ボロボロになっていますよ、全部。
2軒ありまして、1軒は大丈夫だったんですけど、1軒は入れない状況なのでちょっと分からないです。思い出の品がいっぱいあったので、それはそれで…。

避難所には、家が焼け避難してきた人たちが身を寄せていました。
特に延焼範囲が広かった田中地区の区長を務める山田二三夫さんもその一人。自宅に火が回り、スマートフォン1つ持って逃げ出すのが精一杯だったといいます。

山田さんは、今後の復興の道のりについて、地区の特色から“非常に困難である”と話します。

佐賀関 田中地区 山田二三夫区長:
(自宅は)もうない。残ったものはスマホと船だけ。なかなか自宅の方には、もう…戻れないというか。こんなに延焼するとは思わなかったので、気がつけば燃えていたなと。
ここの地区はほとんどが年金受給者ですので、生産人口がないんですよ。年金で家を建てるということは多分できない。(新しい家は)もう無理ですね、作ってもプレハブ程度のものかな…、しょうがない。
出火当時「強風注意報」離れた無人島まで“飛び火”
ここまで被害が拡大した理由を、地元消防団は「密集した古い建物に、吹き続けた強い風」が要因として挙げられると話します。

地元の消防団員:
私も40数年、分団員をしているんですけども、こういう悲惨な状況を見たのは初めてですね。民家がほぼほぼ、広い範囲で焼け落ちているんで、悲惨な現状は初めて見ましたね。
やっぱり(建物が)密集しているということと、古い建物が多いということかなと思います。それときのう(18日)は、北風がかなり強かったので、それで風にあおられてという状況だろうと思います。

出火当時、大分市では「強風注意報」が出されており、それが広い範囲に燃え広がった一因とみられています。

強い風は、火の粉を巻き上げ、1.4km離れた無人島にまで燃え移りました。
元東京消防庁特別救助隊の危機管理防災アドバイザー・田中章氏によると、通常「飛び火」する距離は200~400mほどですが、風の強さによっては、2kmほど飛ぶこともあるそうです。

19日に火災現場を視察した大分市の足立信也市長は、「山頂にまだ火が残っているが、消火できれば20日には鎮圧できるかもしれない」と話し、現在も消火活動が続いています。
(「サン!シャイン」 11月20日放送)
