特集です。
広島市にある比治山公園につながる立体遊歩道「比治山スカイウォーク」を皆さんご存じですか?整備されて27年、いま、「比治山スカイウォーク」が直面している課題からインフラ設備の現実を見つめました。

【利用者】
「いつ直るのかな…このままなのかな」
「あった方が便利なので、直してほしいとは思う。子どももこの距離を歩くのは難しいですし」

広島市南区にある「比治山スカイウォーク」ふもとから山の上にある比治山公園までを動く歩道やエスカレーターでつなぎ、さらに商業施設・「広島段原ショッピングセンター」の駐車場に車をとめて比治山公園に向かうこともできます。

しかし今、ある問題に直面しています。

全長200メートルあまり17億6400万円をかけ建設され、1998年に使われ始めました。

あれから27年。


【向井記者】
「私が乗っているのが動く歩道です。スイっと上ることができて、大変便利なんですが、こちらの下り側には規制がかけられ利用できなくなっています」

去年12月、下りの部分で異音が確認されたことをうけ、安全面を考慮し利用停止に。
1年近くこのままです。

【利用者】
「あった方が便利なので直してほしいとは思う。帰り(は動いて)ないんだなと思って」
「今までこれを使って降りていたが使えないので歩いて降りている。まあ上りが動いている分助かるが。いつ直るのかな。このままなのかな」
「僕は歩きたい方なので、止まっていてもあまり気にならない。維持していくのが大変だと思うので、どこかでうまくいけばいいけど、難しいところですね」

比治山スカイウォークを管理している広島市は修繕について頭を抱えています。

【広島市緑政課 森 渉 課長】
「設置から27年ほどたっている、その間に(同じ型の動く歩道が)生産中止になっていて、その部品などがあれば修繕可能だが、それもないので難しかった」

「比治山スカイウォーク」のメンテナンスにかかる費用は年間およそ2000万円。
しかし、老朽化は誰にも止められず…。

結果として広島市は、最後の急な勾配部分にあるエスカレーターの維持を最優先に考えています。

【広島市緑政課 森 渉 課長】
「エスカレーターは止まったら、隣に階段があるわけでもないですし、かなり不便になってしまうので、まずは今のところはエスカレーターを最優先して更新したい」

止められない「経年劣化」と高額な「維持管理費」問われているのはそれだけではありません

【広島市緑政課 森 渉 課長】
「この動く歩道は乗ったら起動するので、その回数をカウントしたものはあります。それを調べると、かなり利用者は減っている」

利用が始まった1998年には一年間におよそ61万回稼働しましたが、いまでは、その4分の1に減少しています。
更新するための費用は1基あたり、およそ4000万円。
比治山スカイウォーク全体ではおよそ3億円が見込まれています。
「費用対効果」が見合うものになるのか?広島市は協議を重ねています。

【広島市緑政課 森 渉 課長】
「今後、(比治山スカイウォークを)どういった方が使われるか、その使われる層に合わせた整備などをすれば、より使っていただけるのかなと。ここを通って比治山に上がる人が増えていくのではないかと考えています」

あれば便利な社会インフラ設備。しかし、維持していくためにはそれなりの費用がかかるのが現実です。
将来を見据えた議論が急がれます。

<スタジオ>
そもそも比治山スカイウォークは比治山公園へのアクセス向上を図るために作られたものということで、特に「高齢者や身体の不自由な人も比治山公園を利用しやすくするため」という狙いも込められているんだそうです。動く歩道のほかにエスカレーターも車いす対応になっているなど工夫が施されているんです。
その中で老朽化に伴う更新について「費用対効果」が見合うものなのか検討がいりますが、匹田先生はどのようにお考えですか?

【コメンテーター:広島大学大学院・匹田篤准教授】
インフラの経年劣化というのはあらがえない問題なんですけれども、利用者が減る、不便になる、不便になる利用者が減るという悪循環が、進んでしまうことを一番心配しています。比治山は文化施設も自然もありますし「利用者を増やしていく」そういう策も必要であるとともにスカイウォークの乗り場の下の部分の施設もありますから、そこの魅力、それから、スカイウォークそのものの魅力を考えていく必要があると思います。

テレビ新広島
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