JR人吉駅の隣に展示されている『SL人吉』が、18日で製造から103年を迎えます。

この『SL人吉』の〈誕生日〉を前に、人吉市は16日から列車をレールで走らせる『動態展示』を開始。その姿を一目見ようと多くの人が集まりました。

JR肥薩線の人吉駅隣に展示されている蒸気機関車・58654号機。1922年・大正11年製造で、『ハチロク』の愛称で親しまれ、『SL人吉(ひとよし)』として肥薩線を走る人気の観光列車でしたが、肥薩線が2020年7月豪雨で被災。

いまなお、一部区間で運休が続いていて、58654号機も車体の老朽化などのため、去年3月に現役を引退しました。

JR九州から58654号機を無償で譲り受けた人吉市は、『SL人吉』として人吉駅の隣に展示していました。

人吉市は、『SL人吉』を単に展示するだけでなく、動く姿を見てもらおうと、『動態展示』を検討していて、動力をこれまでの『蒸気』から『圧縮空気』に換えて、レールも25メートル延長するなど、準備を進めてきました。

【金子 恭之 国交相】
「令和2年豪雨から5年4カ月がたった。被災前の人吉を取り戻すためには、いろんな努力の中で地域創成をやっていかないといけない。きょうからはSL人吉の動態化で全国の『鉄ちゃん』のよりどころになると思う」

そして16日、動態展示お披露目の日を迎えました。

「再始動、出発進行!」

現役のころのように力強く汽笛を鳴らした『SL人吉』は多くの人たちが見守る中、ゆっくりと車輪を回し、約1年8カ月ぶりに自分の力で前に進みました。

【熊本市から来た子ども】
「〈うぉーーっ〉て感じがした。すごいを超えた〈すごい〉だった」

【鹿児島市から来た中学生】
「汽笛を久々に聞けてよかった。生きてる感じがする」

【SL人吉を整備してきた玉井 明人さん】
「汽笛を久しぶりに聞いて〈また動き出す〉と思い、うれしかった」

【鉄道ファン 村上 一心くん】
「まだ…言葉が出ない。動くのだけでも十分…」

18日で製造から103年を迎える『SL人吉』。

わずか20メートルほどの走行ですが、汽笛を上げ、白い煙を吐きながら再び自らの力で走り出した『SL人吉』の姿を、訪れた多くの人が見つめていました。

人吉市によりますと、『SL人吉』の動態展示は月に1回ほどを予定していて、市のホームページやSNSで告知を予定。

今後、格納庫を整備して、より充実した保存や整備を検討しています。

テレビ熊本
テレビ熊本

熊本の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。