しょうゆとバターの香りが食欲をそそる「焼きホタテ」や、濃厚な甘みが特徴の「ホタテの刺し身」。
生でも焼いてもおいしいホタテに今、問題が生じています。
それはホタテの“サイズ”です。
根室食堂 尾山台店・平山徳治店長:
今年は本当に殻も小さいですし、中身も水っぽいところもあったりして、身も小さいんですよね。それでいて値段は高い。
この店では、各地のホタテを食べ比べてもらうため、北海道の宗谷産と標津産を仕入れ。
12月からは野付半島産のジャンボホタテを仕入れる予定です。
しかし、サイズアップすることで食べ応えが増す一方、仕入れ値は上昇。
宗谷産は1個300円でしたが、標津産は400円。
野付半島産は1000円を超える見通しだといいます。
根室食堂 尾山台店・平山徳治店長:
(ホタテ)1個1000円で仕入れて、1000円以上で刺身で出すというのはちょっと現実的じゃない。庶民的な居酒屋ですから。
全国トップクラスの養殖ホタテ産地、青森県の陸奥湾では、ホタテが壊滅的なダメージを受けていました。
後潟漁業協同組合・工藤琢磨さん:
ほぼ死滅しちゃってて、全滅してる人もかなりいますし、多い人で1割2割くらいしかいって(育って)ない人ばかり。
青森県のホタテの漁獲量は、2020年の8万トン以上から、2024年は3万1326トンに減少しました。
原因は、高い海水温です。
養殖ホタテ産地の陸奥湾では夏場に水温が上昇。
26度以上の高い水温が1カ月ほど続いたことで稚貝が耐え切れず、ほぼ全滅したといいます。
しかし、漁協の工藤さんによると「順調に成長すれば味に変わりはなく、例年どおりおいしく食べられる」ということです。
ホタテと同様、不作にあえぐ冬の味覚がカキ。
国内生産量の6割を占める広島県産のカキは、身が引き締まり、ぷりぷりの歯応えが魅力。
しかし…。
森尾水産・森尾龍也代表:
生きているカキが3つ4つくらいしか…全部口を開けている。死んでいなかったら大豊作だけど…。
今シーズンは全体の9割ほどのカキが死滅したという生産者もいるほど状況は深刻です。
音戸海産・栗原富士雄さん:
生きた心地がしません。残念です。
原因について調べた県の水産海洋技術センターは、夏以降に続いた高い海水温などが原因でカキが弱ったのではないかとの見方を示しています。
一方で、味はというと…。
音戸海産・栗原単さん:
今はこんな感じ。味は全然変わっていなくて、例年より味が濃くなりそうな雰囲気はある。
カキの大量死を受け、政府も対策に乗り出します。
鈴木農水相は19日に広島県の現場を視察し、養殖業者から話を聞くなどしたうえで、被害の全体像を把握し対応する考えです。