日中の外務省局長級協議は日本時間18日午後3時過ぎに終了したとみられますが、2人とも険しい表情でした。

対立長期化の様相を呈していますが、経済にも影響が出始めています。

野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストによりますと、中国からの渡航自粛要請による日本の経済損失は1兆7900億円という試算が出ました。

この数字は、向こう1年間で試算した場合だということです。

中でも影響が大きく出そうなのがやはり観光業です。

中国メディアは、北京の旅行会社が日本旅行の新規ツアー客の受け付けを停止することを決定したと伝えました。

日本政府観光局によると、2025年1月から9月までの中国からの訪日客は約750万人もいて、国別で最大を占めているということです。

さらに、エンタメ業界でも影響が出ています。

例えば11月、12月に公開を予定していた映画「クレヨンしんちゃん」や「はたらく細胞」などが公開延期となりました。

そして、男性11人グループ「JO1」が11月28日に開催を予定していた中国でのファンイベントも開催中止となっていて、様々なところに影響が出ています。

映画もイベントも中国にある日系企業の関係者からは、経済的な影響や対立の長期化を懸念する声が聞かれ始めています。

SPキャスター・中村竜太郎さん:
一番大きな影響は観光業だと思います。ただ、私が取材をした観光業の方に聞くと、キャンセルとか今のところ影響は出ていないとおっしゃっていました。あくまで中国政府からの自粛の呼びかけですし、あとは中国の人は「政治と個人は別だ」という考えが結構多いので、来たい人は来ると思います。ですから、今回経済損失の試算が大きい額でありますけど、冷静に受け止めたほうがいいんじゃないかという気がします。

そんな中、「イット!」では東京都内にある中国人留学生が通う予備校に対して取材をしてみました。

中国の教育省が日本への留学を慎重に検討するように呼び掛けていますが、こうしたことを受けて中国の親から「日本はいま安全なのか?」と心配する問い合わせや、予備校の2026年4月からのキャンセルが約20件に上っています。

他にも、22日から24日に北京で開催が予定されていた日本と中国の有識者が両国の課題を議論する「東京‐北京フォーラム」も延期が決定しました。

これを受けて、日本側の主催者である言論NPOの工藤泰志代表は「あの尖閣の時の、2012年の時をはるかに上回る強いメッセージがあるんだということを我々は受け止めざるを得ないと思っています」と話しました。