冷蔵庫やエアコンなどの中で熱を移動させる役割を果たす冷媒。
これを環境負荷の少ない自然冷媒に考えていく流れが世界で進んでいます。

次々に生産される、たくさんのアイスクリーム。
甘くてひんやりした味わいがとても魅力的ですが、その裏側をのぞいてみると何やら巨大な機械が。

実はここに、地球温暖化防止に貢献する、ある秘密がありました。

滋賀・大津市にある日本熱源システム滋賀工場。
中で作られているのは産業用の冷凍冷蔵機ですが、実はある特徴が。

日本熱源システム・原田克彦社長:
冷凍機には、冷媒回路の中にフロンガスを充填(じゅうてん)している。ただ、フロンガスというのがオゾン層の破壊とか地球温暖化に影響している。それを自然界に元来ある自然冷媒というものに変えていこうということが世界的な流れにあります。

冷蔵庫の中には空気を冷やすための機械が入っていますが、その中に入っているのが冷媒といわれるもの。

冷媒は気体と液体、状態を変化させながら熱を運びます。
冷却器では液体の冷媒が蒸発して周囲の熱を奪い、冷気を生み出します。
放熱器では、気体の冷媒が液化して熱を放出し、外部に熱を逃がします。
これが冷蔵庫やエアコンの仕組みです。

現在使われている冷媒の大半を占めているのは、フロン類という人工的に作った化学物質。
このフロン類が及ぼす地球温暖化への影響は、二酸化炭素の数十倍から1万倍以上に及びます。

そこで今、より環境負荷の少ない二酸化炭素やアンモニアなど、元々自然界にあるものを使った自然冷媒の導入が進んでいるのです。

ドイツの会社と技術提携した日本熱源システムでは、2016年から日本の気候にあった仕様の自然冷媒を用いる産業用の冷凍冷蔵機の製造販売をスタート。

自然冷媒によるこうした製品は、省エネ性能の高い機器の開発や環境省も補助金を出すなど、今では大手の製造業やスーパー、コンビニなどの小売業にも広がってきているといいます。

京都府内でアイスクリームを製造している東洋食品では、数年前にアンモニアを使った自然冷媒の冷凍機に入れ替えました。

東洋食品・巖真悟社長:
もちろんこれからの時代は、環境も配慮しながら設備投資をしていかないといけない。中小企業は特にそうなんですけど、すぐに買える金額でもないですし、やっぱり補助金がないとやっていけない部分もあるので。

産業用冷凍機は、規模にもよりますが1台約2000~3000万円。
この会社ではアイスクリームの製造はもちろん、出荷までに保管するこの巨大な冷凍庫も自然冷媒。
現在はまだ一部フロン類を使っているといいますが、今後すべて自然冷媒に切り替えたいとしています。

日本熱源システム・原田克彦社長:
冷凍機の冷媒の問題、フロンガスの問題、自然冷媒に変えられますよということについて、もっと多くの人に知ってもらうことによって、社会全体で企業としてこの自然冷媒冷凍機に変えていかなくてはいけないんだと。ヨーロッパではもう当たり前のことなので。

自然の力で“冷たく”“涼しく”。
フロン類の国際的な規制も進む中、地球に優しい自然冷媒は今後さらに注目されていきそうです。