年内をもって一部区間の廃線届の提出を検討している富山地方鉄道は、県や沿線自治体が来年度の運行支援費用を確保し、廃線判断の先送りを求めた場合、内容によっては来年度に限り受け入れる考えを示しました。
これは17日に開かれた鉄道サービスの維持・改善について話し合う県の会議のあと、富山地方鉄道の新庄一洋専務が明らかにしたものです。
富山地方鉄道は6期連続で赤字が続き、1993年度からの累積赤字は61億円。
こうした状況から採算がとれない本線の滑川―宇奈月温泉間、立山線の岩峅寺―立山間は沿線自治体から支援など方針が示されなければ、来年の11月末で廃線とすべく、年内に国へ届け出る方針です。
会議では委員から年内を期限としている廃線議論について「十分な議論の時間をかけて検討を進める必要がある」と声が上がったほか、会議の部会長を務める関西大学経済学部の宇都宮浄人教授からは公的な支援の必要性について意見が上がりました。
*県地域交通戦略会議 鉄軌道サービス部会 宇都宮浄人部会長
「路線延長が長く、赤字が継続している状況で一事業者の負担で運行することは厳しいし、それ自体が適切とも言えないのではないか。公共サービスですから公的な資金含めてしっかり支えて議論していく時間が必要」
会議を終え、富山地方鉄道の新庄一洋専務は
*富山地方鉄道 新庄一洋専務
「公的負担がないと適切ではないと宇都宮部会長が言った。そこに期待する」
その上で、今後、県や沿線自治体が来年度の運行支援費用を確保し、廃止判断の先送りを求めた場合、内容によっては来年度に限り廃線の判断を先延ばしすることを受け入れる考えを示しました。
*富山地方鉄道 新庄一洋専務
「行政でどのような内容で一緒にやっていきたいと提案を行ってこられるかで状況が変わってくるのでは。(廃止届の提出は)延長ではないが、議論や考え方を会社で整理しても良いのでは。令和8年度に議論をするなら暫定的なことであってもその期間に対しては対応していきたい」