群馬県が主導する地方創生プロジェクトが活用する、「DAO(自立分散型組織)」と呼ばれる組織づくりとは。

実りの秋を迎えた群馬・みなかみ町で、山ブドウ系の品種とワイン用の品種を掛け合わせた「離山」という品種のブドウの収穫が行われました。

参加者はただブドウ狩りを楽しんでいるわけではなく、地方創生プロジェクトの出資者たちで夢は群馬の山里で「ワインをつくること」。

いま地域活性化の新たなアプローチとして「DAO」という組織づくりが、じわりと広がっています。

地域を元気にするために、人と投資とアイデアを集めるDAOという仕組みに迫りました。

9月、群馬県が主導する地方創生プロジェクトの一環で行われたブドウの収穫イベントでは、県内外から訪れた参加者たちがブドウについて学び、収穫を体験したその後、地元の食材を使った料理に舌つづみ。

収穫したブドウと同じ品種のものが使われたワインもふるまわれました。

群馬県出身の出資者:
ワインが好きなので応援の気持ちで出資につながった。

東京から参加した出資者:
自分でワインを一人で作るのは難しいが、みんなでやれるんだったらいい機会だなと。

山に人が育まれ、人が山を育む、そんな願いが込められたプロジェクト「ぐんま山育DAO」第一弾は、地元産の「ワインをつくること」。

その資金調達のために「DAO」という組織づくりが活用されています。

DAOとは従来の一般的な組織とは違い、所有者や管理者が存在せず、参加者同士の投票で意思決定を行い事業やプロジェクトを推進する組織のこと。

例えば今回のプロジェクトでPR動画を作成するなど決め事をする場合、出資者に与えられる独自の仮想通貨・ガバナンストークンを保有することで投票権を得て、ネット上で賛成か反対を投票、全員で決定します。

群馬県出身の出資者:
公平なり平等なのかなと。で、自分の意見も反映できる。

今後、実際にワイン作りを行う際のブドウの栽培方針や醸造方法なども出資者全員で決定し、希望すればブドウ作りやワイン醸造にも参加することが可能で、単に出資をして終わりではなく当事者として関わることができるのが特長です。

この地方創生プロジェクトにDAOを採用した理由について、群馬県 知事戦略部 デジタルトランスフォーメーション課・後藤徹也さんは「普通の株式会社と違って関わる機会が圧倒的に多い。出資者みんなで決められるので、よりプロジェクトに参加している意識が芽生える」と語りました。

また、労働の提供など組織に貢献した場合はリワードと呼ばれる報酬が与えられ、これをためるとワインや特産品などの特典に交換できる仕組みも構築中で、DAOの運営基盤を開発したガイアックスは地域を支える様々な仕組みを作っていく考えです。

ガイアックス・兼松亜優さん:
DAOの活動に主体的に参加してそれが地元に還元されたり、DAOの活動に還元されるという仕組みを作りたいと思っている。