卓越した技能を持つ人を表彰する「現代の名工」が7日に発表されました。福井県内からは、建具と和菓子の職人2人が選ばれました。


今年、県内から「現代の名工」に選ばれたのは、世界遺産・首里城の修復工事にも携わった鯖江市の木製家具・建具製造工の市橋清治さんと、全国和菓子協会の「優秀和菓子職」「伝統和菓子職」両部門の認定を全国で2人目に受けた小浜市の和菓子職人、上田浩人さんの2人です。
 

現代の名工に選ばれた鯖江市の木製家具・建具製造工、市橋清治さんは、指物職人だった父の姿を見て育ち、15歳のときに父の知り合いの職人に弟子入りし、障子やふすまなど建具の作り方を学びました。
  
この道約60年、現在は建具店を営んでいます。
 


市橋さんの代表作の一つ、千本格子戸は、主に玄関や居間に使われる和風の引き戸で、市橋さんの技術が光るのが帯の部分の装飾です。
  
目潰し本篭目と呼ばれる技法で3本の組子が複雑に絡み、美しい模様を織りなしていてとても高い技術力が必要です。
 
また、裏側には障子紙の代わりに越前和紙が使われています。
  
この作品は、県内の木工職人が年に一度技術を競う大会で最高位の県知事賞を受賞し、全国大会でも入賞を果たしました。


また、市橋さんが25歳の頃から半世紀近く力を入れてきたのが文化財の修復です。これまで全国各地の寺や神社の修復に携わってきました。
 
ここで生かされるのが市橋さんが得意とする「古色」と言われる技術です。古色とは古い建物の修復に使う新しい木材を、日焼けや汚れた古い木材の色に合うよう複数の顔料や墨汁を調合し染め上げる技術です。
  
市橋さんは古色の技術が認められ、去年の春から世界遺産でもある首里城の正殿復元工事に携わり、県内の他の建具店と協力しながら142本の板戸の修復と取り付けを行いました。

市橋さんは「皆さんのおかげだと思っている。文化財の修復では当時の職人の気持ちが分かる気がして、粗相な仕事はできない。健康で体が動く間はこの仕事を頑張りたい」と語っています。
   
市橋さんは、越前指物伝統的工芸品指定推進委員会の一員として、後進への技術の指導も行っています。
  
「現代の名工」の表彰式は、11月10日に東京で行われます。
        

福井テレビ
福井テレビ

福井の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。