5G初対応の「iPhone12」

アップル ティム・クックCEO(最高経営責任者):
次世代の到来です。きょう、iPhoneの新時代が始まります。iPhoneを5Gに対応させます。

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IT大手のアップルがお披露目した「iPhone12」。

高速で大容量の次世代通信システム「5G」に初めて対応したモデルで、人が密集した場所などでもより高速のデータ通信が可能になる。

iPhone 12
iPhone 12

また、従来の機種より重さを16%軽くしたコンパクトなモデルで、カメラ機能を高め、写真や動画をより鮮明に撮影することもできる。

ディスプレーは11と同じ6.1インチで、従来の4倍の強度となる強化ガラスを採用。うっかり落としてしまった時のディスプレーの破損を防ぐ。

他にも小型の「iPhone12mini」や、カメラ機能を強化した「iPhone12Pro」なども発表。iPhone12は税別8万5800円からで、10月16日から予約の受け付けが始まる。

課題は通信網の整備

5G対応スマホは、すでにソニーやシャープ、韓国のサムスン電子、中国のファーウェイなどが販売し、アメリカのグーグルも15日に発売予定で、各社の主な5G対応スマホが出そろった形だ。

国内で62.7%と圧倒的なシェアを誇るアップル(9月現在 出典:アウンコンサルティング株式会社)。

今回の参入は、5G普及の起爆剤となるとの見方もあるが、今後の普及の鍵を握るのは、通信網の整備だ。

NTTドコモは、2020年6月までに47都道府県に1局以上設ける目標を達成、KDDIとソフトバンクは2020年度中に行うとしている。

また楽天は、2023年度中に約2万3500局を整備するとしている。

現在は、都市部などに限られた5G提供エリアをどれだけ早く日本中に拡大できるのか、各キャリアの対応に注目だ。

5GからLTEへ“自動切り替え機能”も

テクノロジーに詳しいIoTNEWS代表の小泉耕二さんに話を聞いた。

三田友梨佳キャスター:
新型iPhone、小泉さんはどんなところに注目されていますか?

IoTNEWS代表・小泉耕二氏:
高性能チップが搭載されているというところだと思います。5G通信が話題になっていますが、高速通信に見合った高速なデータ処理をするには、低消費電力でかつ高速なコンピューティングが必要になります。

こういった課題をクリアにするために、世界最小の高性能チップ「A14 Bionic」が搭載されているんです。これは、台湾のTSMCという世界のチップメーカーとしては最大手の会社しか作れないものです。これが、iPhoneでは世界に先駆けて搭載されました。

さらに、ハード面だけではなく、ソフトウエア面でも工夫がされています。iPhone12には、消費電力が大きなってしまう5G通信を必要のない時は自動的にLTEに切り替える機能があるといわれています。

例えば、映画を丸々1本ダウンロードするには5G、その代わり、普段の使い方ではLTEで十分だということがあると思いますので、そういう切り替えをすることによって、スマホのバッテリーを長持ちさせることができるということです。

また、5Gサービスを開始したにもかかわらず、端末の普及がなかなか進んでいないことで通信キャリアさんは悩んでいたと思うんですけれど、今回の5G対応のiPhoneの登場は、朗報になったんじゃないかと思います。

三田友梨佳キャスター:
新型iPhoneに使われている高性能チップ、それが今後は5G対応スマホのスタンダードとなっていくのでしょうか?

IoTNEWS代表・小泉耕二氏:
世界シェアとしては、ファーウェイ、サムスン、iPhoneとなっているわけなんですけれども、米中貿易摩擦のこともあって、ファーウェイなどの中国製のスマホには最新の高性能チップを台湾企業から輸入することができず、搭載することができない状態です。そのため、5G対応スマホでiPhoneのシェアを広げるチャンスになるんじゃないかと、私は思います。

iPhoneユーザーというのは、あくまでも先進国や高所得者層がメインでして、世界的にはハイスペックなスマホよりも、価格と機能のバランスが良い、そういったものを重視するユーザーが多いというのもありますので、高性能だからといって、iPhoneが人気を拡大するかどうかというのは、また別の話になると思います。

三田友梨佳キャスター:
今、日本でも5Gの基地局の整備が急ピッチで進められていますが、5Gで利用したい魅力的なサービスが増えることも期待したいと思います。

(「Live News α」10月14日放送分)