物議を醸した“舌ペロ”行為

10月の宮城県知事選で6選を果たした村井嘉浩知事が、11月5日の定例会見で、選挙当夜の“舌ペロ”行為について初めて言及した。
SNSで「参政党を侮辱している」と批判が相次いだこの行為について、村井知事は「意図的に出しました」と語り、その真意を明かした。

“舐めているのか”と波紋広がる

任期満了に伴い、10月26日に投開票が行われた宮城県知事選。
現職の村井氏と、参政党の支援を受けた新人・和田政宗氏の一騎打ちは大接戦となり、当確が報じられたのは午後11時を過ぎていた。

物議を醸したのは、その直後に行われたテレビ局の代表質問での一幕。
参政党の神谷宗幣代表について問われた村井知事は「神谷さんも一生懸命応援されました。選挙が終わったらノーサイド。関係ありません」と語り、その直後ニヤリと笑い、舌をペロっと出すしぐさを見せた。

この映像がSNSで拡散されると、「参政党を馬鹿にしているようだ」「知事としての品格に欠ける」など批判が集中。
一部の動画は数万回リポストされ、「ノーサイドどころか“煽り”では」といったコメントも相次いだ。

当選確実後の共同インタビューにて舌を出す村井知事 10月26日深夜 
当選確実後の共同インタビューにて舌を出す村井知事 10月26日深夜 
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「意図的に出しました」神谷代表との因縁を語る

11月5日の会見で村井知事は、この行為が「意図的だった」と明言した。
「ノーサイドですと、神谷さんに対して意図的に出しました。神谷さん、私の気持ち分かってくれるかな、っていう思いを伝えたかったんです」

村井知事は、参政党の神谷代表と自身との間で生じた“すれ違い”を語った。
背景には、7月の参院選で神谷代表が行った「宮城県は水道事業を民営化し、外資に売却した」という主旨の街頭演説がある。

村井知事は神谷代表にメディア非公開の会合を申し入れたものの、返事をもらえなかったと明かした。

「明らかに間違っています。影響力のある方がそのように話されたわけですから、訂正と謝罪をお願いしました。
ところが応じてもらえず、文書で抗議しても返事がない。個人的に会って説明させてほしいと伝えましたが、返事もなく、無視されたんです」

そのうえで、知事選の期間中にも神谷代表が度々仙台入りし、同様の主張を続けたと訴えた。

「分かっていて分からないふりをする。私の気持ちが分かっていて無視をする形を取っておられた。
私が“ノーサイド”なんですと伝えても、気持ちが伝わるかどうかと思って舌を出したんです」

仙台市内で街頭演説する参政党 神谷代表
仙台市内で街頭演説する参政党 神谷代表

「侮辱ではなく、心からノーサイド」“舌に込めた思い”

村井知事は改めて「舌を出したのは侮辱ではない」と強調した。

「決して神谷さんに対して侮辱する意味ではなく、本当に心からノーサイドなんですよと。
会って間違ったことを説明させてほしいという思いを込めました。神谷さんに伝わればそれでいい。
ただ、間違っていることは間違っている。民営化ではありません。コンセッションと民営化は全然意味が違います」

記者から「舌を出す行為は好ましくないのでは」と問われると、こう応じた。

「アインシュタインだって舌を出してたじゃん。あっかんべーではないです。茶目っ気を持ってやったつもりです。
決して批判でも侮蔑でもなく、神谷さんに私の気持ちが伝わればいいなという純粋な気持ちです」

さらに、「ドリフターズの“なんてな”的な?」という質問には笑みを浮かべて答えた。

「そうです。なんちゃって的な感じで。分かってくれるかな、分かってほしいなっていう思いを体現したかったんです」

当選の翌週 騒動について初めて言及した村井知事 11月5日定例会見
当選の翌週 騒動について初めて言及した村井知事 11月5日定例会見

「アインシュタインだって舌を出した」ユーモアと苦悩のあいだで

知事は、行為の背景には「ユーモアを交えた気持ちの表現」もあったと説明した。

「私の気持ちとユーモアを混ぜて出したという感じです。思わずではなく、考えて出した。
聞かれたらこうしようと思っていました。神谷さんのことについて」

アインシュタインを引き合いに出し「ユーモアの気持ちを混ぜて(舌を)出した」と語る村井知事
アインシュタインを引き合いに出し「ユーモアの気持ちを混ぜて(舌を)出した」と語る村井知事

県庁には300件近い意見が寄せられる

会見では、県庁への反響も明らかになった。

「電話が126件、メールが115件、知事への提案が60件来ています。ほとんどが批判的な意見のようです」

週刊誌でも報じられ誤解も多いとしながら、「抗議しようと思ったが、まあいいかなと思った」と述べた。

「参政党を支持する県民の方もいる中で、失礼なことはしない。党首として立派な仕事をしていただきたい。期待しています」

県庁への問い合わせについて「勘違いをされた方が多い」と話す村井知事
県庁への問い合わせについて「勘違いをされた方が多い」と話す村井知事

「表現の自由」も強調「これでまた電話が来るでしょう」

クレーム対応する県職員の負担について問われると、知事は次のように話した。

「これは表現の自由。私がやったことを相手がどう受け取ったかということなので。 私は聞かれたら答えざるを得ない立場。たぶんきょう言ったことで、また電話やファックスやメールが来ると思います。
職員には迷惑をかけますが、感情や考えを伝えるのが私の仕事。お許しいただきたいと思います」

宮城県庁には300件近くの意見が寄せられている
宮城県庁には300件近くの意見が寄せられている

“舌ペロ”に込めたもの

「分かってほしいな、それを全てこの舌に集約した」

村井知事が語った“舌ペロ”の真意は、誤解を解きたいという思いと、長く続いたわだかまりの交錯だったという。
本人は「ノーサイド」と言い切ったが、SNS上では今も賛否の声が続いている。

【当確時インタビュー映像・知事定例会見ノーカット映像はFNNプライムオンラインに掲載中】

10月26日 当選確実の一報を受け歓喜に沸く村井氏陣営
10月26日 当選確実の一報を受け歓喜に沸く村井氏陣営
仙台放送
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