兵庫県宝塚市で親族4人をボーガンで撃ち、殺傷した罪に問われている男の裁判員裁判で、神戸地方裁判所は男に無期懲役の判決を言い渡しました。
自らに下された「無期懲役」の判決を、被告は肩を丸めて静かに聞いていました。
■弁護側は”懲役25年” 検察側は”死刑”を求刑
野津英滉被告(28)は5年前、宝塚市の自宅で祖母・母親・弟の3人をボーガンで殺害し、伯母にも重傷を負わせたとして殺人と殺人未遂の罪に問われています。
動機について弁護側は、被告の母と弟は発達障害で自身の心身の苦しみの原因である家族関係を清算し、自分も死刑になって死のうと思ったと指摘しました。
その上で、被告自身にも発達障害があり、その影響で責任能力が低下する「心神耗弱」だったとして「懲役25年」が妥当だと主張。
一方、検察側は重症度は高くなく責任能力はあったとして「死刑」を求刑していました。
■裁判長「生涯をかけて罪に向き合わせる」
そして31日午後、神戸地方裁判所は「無期懲役」を言い渡しました。
松田道別裁判長は責任能力について、「心神耗弱は認められない。完全責任能力を認める」とした一方で、不遇な家庭環境であり、一度は離れて暮らしていた母親と弟が再び現れ病状を悪化させたなどと認定しました。
そのうえで、「自殺を選択せず、死刑になるという極端な思考は自閉スペクトラム症の症状で、被告を一方的に非難できない。社会的影響は大きいが家庭内であり反社会性はない。同種事案と比べると、死刑が真にやむを得ないといえない」と指摘しました。
裁判長から「生涯をかけて罪に向き合わせる」と告げられた野津被告は閉廷となっても座ったままで、警務官に促されると静かに立ち、肩を丸めて退廷しました。
(関西テレビ「newsランナー」2025年10月31日放送)
 
       
         
         
        