9年前の熊本地震からの復旧を目指す熊本城の中でも、熊本市役所屋上の情報カメラから見て、天守閣の右手前にある国指定重要文化財の田子櫓の本格的な再建が始まった。
熊本城の田子櫓の再建工事が公開
10月29日に工事の様子が公開されたのは田子櫓で、七間櫓、十四間櫓などを合わせ、天守閣から見て南東部に位置することから『南東櫓群』とも言われている。

江戸時代初期に創建されたとみられているが、2016年の熊本地震では外壁に亀裂が生じたり、柱が傾くなどの被害が出て、復旧のための解体工事が2024年8月から行われてきた。

そして作業は順調に進み「解体」から「再建」へと工程が移ったことから、10月29日に工事の様子が報道陣に公開された。
棟木の取り付けに縄巻竹の製作作業も
棟木とは、屋根の部分の重さを梁に伝える重要な部材で、これを組むことで建物の骨組みが完了したことになる。

10月29日は田子櫓の2本の棟木を大工が柱を木槌でたたくなどして、微調整しながら慎重に取り付けていた。ちなみに、取り付けた棟木は幕末の松の木とみられるという。

また、10月29日は『縄巻竹』を作る作業も公開された。縄巻竹は、櫓の軒下などの木材に取り付けるもので、熊本県産の竹を割った素材一本一本に大工が縄を巻きつけていた。

縄巻竹を触ってみると、竹と比べると凹凸があってゴツゴツした感じで、こうすることによって漆喰を塗った時に、剝がれにくくなるという。

さらに、粘土質の土に稲わらを混ぜて発酵させている壁土も公開された。2026年10月まで寝かされ、その後、再建工事で使われる予定だ。

熊本城総合事務所・復旧整備課の上村祐一課長は「素屋根がありますけど、ネットも薄いものにしてあって、復旧作業をご覧いただけると思いますので、ぜひ特別見学通路から作業をご覧いただけたら」と話した。

田子櫓など5つの櫓の復旧完了は2028年9月の予定だ。
(テレビ熊本)
