9年前の熊本地震からの復旧を目指す熊本城。中でも市役所屋上の情報カメラから見て天守閣の右手前にあるこちらの櫓。江戸時代初期に建てられたとみられる国指定重要文化財の田子櫓(たごやぐら)の本格的な再建が始まりました。

工事の様子が公開されたのは田子櫓で、七間櫓、十四間櫓 などをあわせ、天守閣から見て南東部に位置することから「南東櫓群」とも言われています。

江戸時代初期に創建されたとみられていますが、2016年の熊本地震では外壁に亀裂が生じたり柱が傾くなどの被害が出て、復旧のための解体工事が去年8月から行われてきました。

そして作業は順調に進み「解体」から「再建」へと工程が移ったことから29日工事の様子が報道陣に公開されました。

【郡司 琢哉アナウンサー】
「田子櫓の建物最上部にある横木棟木が取り付けられていきます。

職人たちの手によって持ち上げられゆっくりと下ろされていきます」

棟木(むなぎ)とは、屋根の部分の重さを梁に伝える重要な部材で、これを組むことで建物の骨組みが完了したことになります。

29日は、田子櫓の2本の棟木を大工が柱を木槌でたたくなどして微調整しながら慎重に取り付けていました。

ちなみに取り付けた棟木は幕末の松の木とみられるということです。

また、こんな作業も公開されました。作られているのは『縄巻竹(なわまきだけ)』です。

縄巻竹は、櫓の軒下などの木材に取り付けるもので、熊本県産の竹を割った素材1本1本に大工が縄を巻きつけていました。

【郡司 琢哉 アナウンサー】
「触ってみると竹と比べるとおうとつがあってゴツゴツした感じです。こうすることによって漆喰を塗った時に剥がれにくくなるということです」さらに、粘土質の土に稲わらを混ぜて発酵させている壁土も公開されました。

来年10月まで寝かされ、その後、再建工事で使われる予定です。

【熊本城総合事務所復旧整備課 上村 祐一 課長】
「素屋根がありますけど、ネットも薄いものにしてあって復旧作業をご覧いただけると思いますので、ぜひ特別見学通路から作業をご覧いただけたら」

田子櫓など5つの櫓の復旧完了は2028年9月の予定です。

テレビ熊本
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