特集です。
【加藤キャスター】
「ちょっと…いまから我々はどこに誘われるんだろうというような幻想的な空間になっていますがすごい…わ~…」
広島市中心部に誕生する広島もとまち水族館。(広島市中区・パセーラ 7階)
大きな特徴は従来の水族館とはひと味違う幻想的な空間演出と水槽の融合…。
若い世代、そしてファミリー層の心をつかむオープンまでの舞台裏に密着しました。
撮影を許されたのは今年9月初旬…。
多くのカメラが待ち構える中、1台の車が到着しました。
【スタッフ】
「遠かったです、行きは運転したんですけど」
運ばれてきたのは香川県の水族館で飼育されていた生き物です。
【スタッフ】
「大丈夫そうですね」
およそ200種の生き物を飼育・展示する館内。
設備が8割ほどできたこの日、初めて生き物が搬入されました。
【スタッフ】
「おー(飛び出しそうになる)」
先陣を切ってやってきたのは海のギャングとも呼ばれる「ウツボ」。
1匹ずつ、慎重に水槽へいれます。
再開発が進む“街なか”において大きな集客が期待される水族館…。
手がけるのはこれまで舞台美術やデジタルアートが融合する劇場型アクアリウムなどで人々を魅了してきた実績のある企業です。
<9月15日>
開業に向けて奮闘するメンバーの中にはこの春新卒入社した飼育員の姿も…。
【新人飼育員・小山一圭さん(22)】
「おはようございます!」
Q:きょうはどんな1日になりそうですか。
「生き物が入ってくるので忙しい一日になるかなと思う」
【加藤キャスター】
「オープンに向けて準備が進む『広島もとまち水族館』、こちらの全面真っ白な空間に目を奪われます。こちらも雰囲気が変わりますが、あちこちに水槽があります。まだ生き物が入っていない水槽、あちらにはクラゲ、手前にはウツボなどすでに生き物が入っている水槽がありますね。ウツボの水槽の下では飼育員の方が水質検査を行っています」
実は小山さん、生まれも育ちも広島。
この春、福山大学を卒業し、今回の開業で幼い頃からの夢を叶えました。
【新人飼育員・小山一圭さん(22)】
「幼稚園くらいの時から(飼育員になりたいと)言っていた。水族館に初めて連れて行ってもらったときに飼育員にいろいろ教えてもらったときのような感動を与えられる仕事がしたかった」
幼い頃の体験がいまに繋がっているという小山さん。
しかし、いまは毎日が勉強、そして反省の連続でもあります。
【新人飼育員・小山一圭さん(22)】
「いや~…食べてくれないんですよね…1週間くらい大丈夫とは先輩が言っていたんですけど…エサを食べなくて死んじゃったら僕の力不足で殺しちゃうんで…難しいんですよ。飼育員って…なめてかかってたらダメです。本当に…食べない…」
“力不足”と自らを責めながら次の作業場所へ。
館内8つのゾーンはそれぞれに担当飼育員が配置されています。
【新人飼育員・小山一圭さん(22)】
「主にここのエリアを担当させてもらっていて、サンゴの世話やレイアウト、岩を組んだりも僕がやっている。これはテーブルが上の水槽になっているので、面白いギミックがあって…こんな感じで上がるようになっていて…。ここからエサをあげるところをお客さんにみてもらったりとかという仕掛けが実はある」
<チンアナゴ>
各担当者の知恵と工夫、表現力が問われるレイアウト。
飼育員の仕事はエサを与えたり、水を変えたりするだけではないんです。
【新人飼育員・小山一圭さん(22)】
Q:設計図があるわけではない
「(先輩の)センスです」
Q:そういうところも勉強になる
「そうですね、なりますね」
「白そこで、黒ここか?」
先輩の手伝いをしながら学び、自らが託されたエリアで小山さんも試行錯誤します。
【新人飼育員・小山一圭さん(22)】
「いや~難しいですね…。(どうですか?)なんか…なんか…ですね…。生き物に焦点があたるように展示はしてあげないといけないので」
一方、この頃になると…
「おつかれー!」
毎日多くの生き物が次から次へと “新たな住まい”に到着…。
【グループ水族館の飼育員】
「頑張れ!手出したらあかんで!噛まれたらサクッとなくなるで」
慎重にすくい出したのは “凶暴な”ピラニアです。
まるで美術館のような空間の水槽に入りました。
そのほかにもカメや…ヤドカリが加わりますが…、ここで心配な事態が…。
「いま歩いている端から空気出てきてるやろ」
砂の中から空気が出ていてこのままではヤドカリに影響があるというのです。
そして、小山さんが管理する水槽にもたくさんのサンゴが…。
専門業者の力を借りて1つ1つ並べていきます。
【専門業者・小山さん】
「奥のは全部ミドリイシですか?」
「これが…?トランペット」
【小山さん】
「名前もみんな分かりにくいというか○○の仲間みたいなのが多いので、サンゴは毎日帰って勉強している」
<宮島水族館>
この日、廿日市市の宮島水族館を訪ねた飼育員…。展示フロアに案内されじっと水槽の中を見つめます。
【広島もとまち水族館の飼育員】
「瀬戸内海の希少な生き物ということで何とか展示したいなと思って、宮島水族館に相談したところご協力いただけるということで、やっぱりちょっとカッコいいのでワクワクしますね」
Q:同じ広島の土地にある水族館にもらいに来るのは意外だったが
「水族館同士って意外とというと変だが、全国みんな仲がよくて、お互いの水族館で生物交換とか協力したりしてお互い盛り上げていこうという文化がある」
カブトガニのほかにも宮島水族館で繁殖させたミズクラゲやマダコを譲り受けました。
【宮島水族館の飼育員】
「新しい水族館でも活躍してほしいなという気持ちで準備した」
さらに、広島もとまち水族館の飼育員は広島市安佐動物公園にも…。
【広島市安佐動物公園の飼育員】
「オオサンショウウオは夜行性なので昼間は暗いところにじっとしている」
【広島もとまち水族館の飼育員】
「うわ~でかい!」
ここではオオサンショウウオの繁殖施設などを見学。
飼育ノウハウを学んだ後、2個体を借り受けました。
既存のビルのフロアを改装しているため、水槽の大きさなどに様々な制限を抱える『広島もとまち水族館』
それでも水槽には様々な施設との連携で魅力的な “主役たち”が揃ってきました。
クラゲが目玉のこちらのゾーン。
宮島水族館からの個体が加わりましたが飼育員は何やら頭を悩ませている様子…。
【広島もとまち水族館の飼育員】
「速いな…」
数が増えたため敏感なクラゲを守るためには細かい水流の調整が必要になったのです。
新人飼育員・小山さんが担当するゾーンでは…。
【新人飼育員・小山一圭さん(22)】
「すごいいっぱいいる!めっちゃいる!」
Q:うれしい
「かわいいです」
Q:かわいいのは口?
「顔、正面から見た顔…ほら!」
こちらもオープンに向け準備は順調です。
【加藤キャスター・小山さん】
Q:どんな飼育員になりたい
「知識が全然ない状態なので、知識を付けつつ、魚がいかに健康に育ってくれるかも大事だし、お客さんに楽しんでもらうというのも僕の目標ではある…たくさんある…欲張りですけど全部ちゃんと叶えられるような飼育員になりたい」
広島では見慣れない“都市型”水族館の誕生。
メインターゲットに県内の若年ファミリー層などを挙げオープン初年度の入館者数20万人以上を目指します。
【広島もとまち水族館・佐藤文宏 館長】
「なかなか都会に住んでいる方は生き物を身近に感じる機会は少ないと思うが、お子さんにとっては非常に来やすい場所だと思うので、初めて生き物とか命というものに触れる場所になってくれたらいいなと思うし、水族館を楽しみに来られる方と水族館にさほど興味がない方にも楽しんでいただける施設になっているんじゃないかと思っている」
ついに明日31日、オープンです!
<スタジオ>
今回、密着させていただいた小山さんを初めスタッフの皆さんがやはり飼育をしているところ、説明してくれるところ、本当に目がキラキラしていたというのがすごく印象的でした。
本当にいろいろなところから、いろいろな動物、生き物が集まってきてというところで飼育の方法もそうですが、相手が生き物ということで、やっぱり難しいこともあるんだなということ。試行錯誤しながら作ってこられた空間なんだなということがよくわかります。
本当に生き物に興味がある人はもちろんのこと、今までなかった人も興味をぐっと引き寄せられるようなそんな水族館になっていると私も感じました。いよいよ明日31日オープンです。