敦賀市東浦地区で江戸時代から栽培が続く「東浦みかん」。今年は“表年”で豊作が期待される中、一部の農園ではシカによる被害が深刻となっています。
丸々としたミカンが陽の光を浴びて輝く、敦賀市元比田にある観光みかん園。
敦賀市の北東に位置する東浦地区では、太陽光が行き届きやすい傾斜地を生かして江戸時代からミカンを栽培しています。
今年も例年通り、20日からミカン狩り体験が始まり、子供たちは「甘い」「酸っぱいけどおいしくて最高」と言いながら頬張っていました。
このみかん園を経営する下野浩稔さんは「今年は表年。雨が降らず夏の日照りも強かったので虫もつかず、非常においしいミカンが育った」と胸を張ります。
ところが別のミカン園では、シカによる食害が深刻になっていました。
東浦みかん特産化組合の岡本幸男組合長は「120~130本作っている農園では、上の方だけ実がなって下の方がほとんどなっていない。これは冬場、シカに食べられてしまったからで、不作だった去年と比べても6割から7割しかなっていない」と話します。
エサを求め山から下りてきたシカに新芽となる部分を食べられたことで花が咲かず、実がつかなかったのです。岡本組合長は、これほどの被害は初めてだと言います。
岡本組合長によると「シカが最も嫌がるのは電気」だということで、ミカン園全体に電柵を設置しているといいます。
山側を中心にミカン園の周りに電気柵を設置。その後は、シカが侵入した形跡が見られなかったため「来年こそはミカンを守ろう」と、この冬までに電気柵で完全に囲う予定です。
岡本組合長は「シカの被害がなければ今年は豊作なので未来は明るかったんですが、今年はちょっと暗い感じに」と肩を落とします。そして今年は、ミカン狩りの営業日数を減らすという苦渋の決断をしました。
JA福井県によりますと、約30あるミカン農家の少なくとも5、6軒でシカの被害が確認されていて、今後は市とも相談し、電気柵の範囲を広げたり柵を高くしたりして対策を進める考えです。