ネット通販大手「アスクル」へのサイバー攻撃によるシステム障害を巡って、新たな動きがありました。

アスクルは29日、医療機関や介護施設など、一部の顧客を対象に受注を試験的に再開。

コピー用紙やトイレットペーパーなど、37品目の注文をFAXで受け付けています。

「イット!」が訪ねたのは、毎日のようにアスクルを利用していたという東京都内の「有明ファミリー薬局」。

サイバー攻撃以降、発注ができなくなり困惑していました。

有明ファミリー薬局・小林和正薬剤師:
いつ発注できるようになるか非常に心配。在庫も残り少なくなっておりますので、早く発注システムが回復してほしい。

この薬局では、アスクルからどのような商品を購入していたのでしょうか。

有明ファミリー薬局・小林和正薬剤師:
いろいろあるが主に紙類が多くて、日常的に使うA4、A5の紙類を発注したり、薬を入れる軟こうの容器、薬の錠剤を入れる薬袋と呼ばれる袋を発注していた。(在庫は)残り少ない状況。緊急に必要なものは、他の系列店に薬局が何店かあるので、そちらから急いで持ってきてもらったりして対応している。

コピー用紙は処方箋や明細書などに使っていて、薬を入れる袋はあと10日ほどで在庫が尽きるといいます。

この薬局では、アスクルが29日から一部の顧客を対象に受注を再開したことを知り、注文しようとしました。
しかし…。

有明ファミリー薬局・小林和正薬剤師:
(FAXで注文)できるのかなという期待感はあったが結局問い合わせたら、うちの薬局はまだ「該当していない」という回答が来てまだ発注できない。非常に困っている状況。

受注先の制限について、アスクルは「現在トライアル期間中で、これから注文できるお客さまと商品数は増えていく」と説明しています。

一方で、サイバー攻撃の影響は教育の場にも及んでいます。

取材したのは、東京・荒川区にある「植田塾」。

30年以上にわたり、子供たちを教えてきたという塾長に聞きました。

植田塾・植田一幸塾長:
主にコピー用紙を(アスクルに)注文しています。アスクルの質と金額を考えると、アスクルが私にとっては一番いいかな。

アスクルでコピー用紙が発注できなくなり、テストや宿題などに使う紙が補充できない状態になっていました。

こうした状況がこの先も続けば、子供たちの学習にも影響が出る可能性があるといいます。

植田塾・植田一幸塾長:
冬期講習と受験ですね。受験生はたくさんプリントを使うので、それがないと授業にならない。生徒たちも困る。個々の生徒に応じてプリントを出しますので、思った以上にプリントを使わないといけない。冬期講習は2箱は完全に使います。5000枚は使うということですね。

今後も発注できない状況が続いた場合、新たな発注先を探すなどの対応を迫られるとしています。

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「経済部」は、「日本や世界の経済」を、多角的にウォッチする部。「生活者の目線」を忘れずに、政府の経済政策や企業の活動、株価や為替の動きなどを継続的に定点観測し、時に深堀りすることで、日本社会の「今」を「経済の視点」から浮き彫りにしていく役割を担っている。
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