東京・有楽町の東京宝塚劇場で11月中旬まで月組がミュージカルを公演中で連日多くのファンが詰めかけている。
ファンのなかには、耳が聞こえにくい人もいるが、そうした人に対してセリフや音楽をより明瞭に聞き取りやすくするための聴覚補助機器が貸し出されている。
この取組は、東京都がデフリンピックを機に進めている「誰もが芸術文化を楽しめる東京」を目指すキャンペーン「オールウェルカムTOKYO」の一環で、東京宝塚劇場も今年度から参加している。
宝塚歌劇を運営する阪急電鉄は、これまで障害者手帳を持つ人に、セリフが文字化されるタブレットを貸し出していたが、今回都の助成を活用し、東京公演では手帳を持っていない人でも、セリフや音をしっかり楽しむことができる聴覚補助機器を導入した。
観賞サポートの助成事業「オールウェルカムTOKYO」は耳が聞こえない、聞こえにくいアスリートたちのための国際スポーツ大会「デフリンピック」が11月に東京で開催されることを契機に、去年から実施している。
初年度は演劇や博物館など62事業で実施、今年9月末時点で300を超える都内文化施設、団体が参加している。
助成採択団体からは、「タブレットやイヤホンなどの導入はコストがかかるので、実施の必要性は感じていたもののなかなか踏み出すことができなかったが、東京都からの助成で実施することができてよかった」との声が上がった。
観客からは、「はじめて舞台の様子を知ることができて、心から楽しめて涙を流しました」という感想もあったという。
ある芸術団体は、機器にたよらず、手話通訳が役者と同じコスチュームで舞台に登場し歌や音楽に合わせてリズムを刻みながら手話通訳を行っている。
東京都は、こうした手話通訳への助成も実施している。