映画の街・盛岡を長年支えてきた岩手県盛岡市の老舗映画館「盛岡ピカデリー」が、56年の歴史に幕を下ろしました。
営業最終日の10月26日は多くの人が訪れ、閉館を惜しみました。
盛岡市の通称・映画館通りにある「盛岡ピカデリー」では、営業最終日の26日、運営会社・南部興行の小暮信人社長が訪れた客に長年の感謝を伝えました。
南部興行 小暮信人社長
「きのう仙台から来たご婦人が『ここは映画を見て、主人と一緒になった劇場だ』と(話していた)。色々な思いがそれぞれあると思うが、長い間ご支援ありがとうございました」
盛岡ピカデリーはスクリーンが1つ、客席数176の老舗映画館で、1969年の開館以降、数々の名作をそのスクリーンに映し出してきました。
しかし、入居するビルが老朽化していて、大規模な改修を行うと長期間休まざるを得なくなることを受けて、56年の歴史に幕を下ろすことになりました。
26日は県内でも撮影が行われた「男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎」など3作品が上映され、盛岡ピカデリーとの別れを惜しむ人が多く訪れていました。
利用客からは「映画の作品そのものそうだが、チケットを売ってくれる人や館内の掃除をしてくれる人を含め、劇場という空間をつくっていると思った」との声が聞かれました。
南部興行 小暮信人社長
「56年間やり続けることができたのは、映画ファンがいなければできないこと。映画館をやっていてよかった」
南部興行は今後、系列の映画館「盛岡ルミエール」に業務を集約することにしていて、小暮社長は「映画の街盛岡を引き続き盛り上げていく」と話しています。