9月下旬から10月ごろに収穫される秋冬番茶。
この番茶を巡って、お茶の生産量全国1位になった生産地で頭を悩ませる事態が起きています。
厳しいまなざしで茶葉を吟味する人々。
問屋の担当者が集まった場所は、かごしま茶流通センター。
鹿児島県は2024年、お茶の生産量が静岡県を上回り初めて日本一となり、新たなお茶どころとなったのです。
市場に訪れた問屋の頭を悩ませていることは、秋冬番茶の価格の高騰です。
仕入れ先:
(Q. こんなに高くなることあった?)ない、全くない。値上げは皆さんそれぞれやっていると思う。来年これが続くと消費者が離れ、小売業が離れる。
2024年の同じ時期の秋冬番茶の取引価格を見ると、これまで1kg当たり平均で300円から400円台で取引されていましたが、2025年は5倍から7倍近くの値段がつけられる異常事態に。
高くなっているのは番茶だけではありません。
お茶全体が価格高騰しています。
背景には何があるのでしょうか。
鹿児島県茶業会議所・光村徹専務理事:
世界的な抹茶ブームによって(茶葉が)、抹茶の原料であるてん茶の製造に回っているから(緑茶の原料の)煎茶の供給量が減ってしまって値段が上がったと。
もともと抹茶、煎茶、番茶は全て同じ茶葉から異なる製法で作っていますが、世界的な抹茶ブームにより番茶や煎茶の生産量が減少したのです。
その影響はブランド煎茶で知られる福岡・八女市でも…。
八女美緑園製茶・江島一信代表:
以前は煎茶7割、抹茶3割ぐらいの割合で生産をしていたんですけど、去年ぐらいから世界的な抹茶ブームを受けまして、抹茶をだいたい6割、煎茶を4割にシフトを変えた。
抹茶への切り替えにより生産量が減り、価格が高騰したという煎茶。
抹茶はインバウンドの需要が高く、売れ行きは好調。
しかし、それにより抹茶価格が高騰。
店では今後、商品の値上げを検討しているといいます。
抹茶ブームによる煎茶、番茶、抹茶の価格高騰。
いつまで続くのでしょうか。
鹿児島県茶業会議所・光村徹専務理事:
海外の抹茶ブームは簡単に消えないと思うが、それが5年、10年、20年続くのかどうか。この秋以降は(価格が)ちょっと厳しくなってくるのかな。