ツイセキです。
「清流の女王」とも呼ばれる「アユ」。
いま、産卵の時期を迎えていますが広島市を流れる太田川では減少した天然アユの遡上を復活させようと奮闘しています。
広島市安佐北区の太田川沿いに集まった人たち。
長い柄のついた道具を持ち続々と川に下りていきます。
一体何が始まるかというと…。
【辰已キャスター】
「みなさん一斉に川の中に入っていって、すでに石を外に投げ出している方もいますね」
深いところで膝上ほどの水の中から、大きな石を次々と運び出す参加者…。
実は産卵をするアユのために行っているんです。
「清流の女王」とも呼ばれる「アユ」。
かつては太田川にも多く生息していましたが近年、水量の低下などさまざまな環境の変化で天然アユの数は減少しています。
そのため、太田川漁協や広島市などは一丸となって天然アユを増やすために試行錯誤してきました。
その取り組みのひとつが今年も実施された「産卵場の造成」です。
【漁協の組合員】
「こういう砂のところで産卵する。卵を産むと今度は自分の尻尾で砂をかける」
【辰已キャスター】
Q:尾でかけられるくらいの軽い砂とか砂利を置く?
「そうそう」
重要なのはアユが自分の力で砂や石を動かせる環境を整えること。
去年までは大きな石を取り除くだけの作業でしたが、今年は横一列に並び川の流れに耐えながら足を使って丁寧に整備していきます。
【広島市の担当者】
Q:コツがいる?
「なかなか大きな石も多いので難しいですね。あとこの流れなので」
これはアユの卵の写真です。
アユは川の浅瀬で産卵、ふ化し海に下って冬の間は成長。
春になり、再び川で「遡上」します。
天然アユの遡上数「71万尾」を目標に毎年、産卵場の整備を続けていますが、広島市のこの5年間の調査では、依然として低い水準が続いています。
【太田川漁協・山中幸男 組合長】
「海に下る、その時に海水温が20℃以上だとほとんど死んじゃう。そこらが僕らはどうしようもできない…自然ですから」
そのほかにもある『天敵』の存在が…。
【太田川漁協・山中幸男 組合長】
「(アユが産卵で下ってきたときに)カワウが来ないようにいまから(漁協の)組合員がテグスをはる」
産卵開始の目安となる水温20℃を切り、いよいよ活発な時期を迎えるアユの産卵…。
天然遡上を増やすためにはまずできるだけ多くの赤ちゃんが海に下ることが欠かせません。
きょう24日、漁協では産卵を間近に控えた親のアユおよそ2000尾を放流しました。
【太田川漁協・山中幸男 組合長】
Q:太田川のアユが戻るとどんな未来が待っている?
「それは漁協としても経営が(安定する)。うちはアユがいなかったら漁協が成り立たない。
死活問題になる。昔のように釣り人がどんどん川に入って(アユ釣りでにぎわいを見せる)それを目標に一生懸命やる」