きょう=24日行われた高市総理大臣の初の所信表明演説。

経済対策に重点に置き、「物価高対策に最優先で取り組む」などと述べました。

また連立を組む日本維新の会が掲げてきた「副首都」に言及したほか、少数与党の中で、ガソリン減税など野党の政策にも配慮した発言もみられました。

■女性・奈良県選出で初の総理大臣による所信表明演説

【高市早苗総理】「日本の未来を切り拓く責任を担い、この場に立っております。日本再起を目指す広範な政策合意の下、自由民主党、日本維新の会による連立政権を樹立いたしました」

女性初、そして奈良県選出議員で初となる総理大臣による所信表明演説。

日本維新の会との連立政権が“少数与党”であることから、演説の序盤から野党への配慮をにじませました。

【高市早苗総理】「政権の基本方針と矛盾しない限り、各党からの政策提案をお受けし、柔軟に真摯に議論してまいります」

■連立を組む維新や野党から求められた政策への言及も

その上で、最優先で取り組むと明言したのは物価高対策で、日本維新の会や野党から求められた政策なども随所に見られました。

【高市早苗総理】「ガソリン税の暫定税率については各党間の議論を踏まえ、今国会での廃止法案の成立を期します」

【高市早苗総理】「“103万円の壁”については、今年の年末調整では160万円まで対応することといたしますが、基礎控除を物価に連動した形で更に引き上げる税制措置について真摯に議論を進めます」

そして副首都についても次のように述べました。

【高市早苗総理】「首都の危機管理機能のバックアップ体制を構築し、首都及び副首都の責務と機能に関する検討を急ぎます」

■外交・安全保障では「中国・北朝鮮・ロシアを名指し」「深刻な懸念」と表現も

一方、外交・安全保障については、中国・北朝鮮・ロシアを名指しし、その軍事的動向などが「深刻な懸念」と述べました。

【高市早苗総理】「我が国周辺では、いずれも隣国である、中国、北朝鮮、ロシアの軍事的動向等が深刻な懸念となっています。こうした国際情勢のもと、世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻します」

日米同盟を基軸に韓国、オーストラリアなどとも安全保障協議を深める考えを示し、防衛費をGDP比2%とする目標を「前倒して措置を講じる」と述べました。

【高市早苗総理】「必ずや日本列島を強く豊かに、日本を再び世界の高みに押し上げてまいります」

■維新・吉村代表「社会保障改革そして副首都を明確に 大きな前進」

連立を組む日本維新の会の吉村代表は、次のように受け止めを語りました。

【日本維新の会・吉村洋文代表】「“高市カラー”がよく出た内容になってるなと思います。あわせて日本維新の会として絶対に譲れない社会保障改革、そして副首都を明確に示していただいたと。大きな前進だと思っています」

■野党から苦言…かつての“連立パートナー”公明党からも…

一方、野党からは苦言が…

【立憲民主党・野田佳彦代表】「決断と前進という内閣のはずですけど「先送りと後退」の所信表明演説だったと思います」

【国民民主党・玉木雄一郎代表】「内容がまだ抽象的なものが多くて、一番大事だと言っていた物価高騰対策。とりわけ年内に何ができるのかということについては、具体像が見えなかった」

さらに、連立を解消したばかりの公明党からも…

【公明党・斉藤鉄夫代表】「政治改革についての言及が一言も無かったことにびっくりしました」

様々な課題がある中、高市総理はどのような政権運営をしていくのでしょうか?

■京大・藤井教授「約40兆円の財政赤字が許容されるという演説」”積極財政”を評価

“積極財政”を主張してきた京都大学大学院の藤井聡教授は、高市総理が「成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑える」と述べたことは、「約40兆円の財政赤字が許容されるという演説で、財源の裏付けのある演説」と評価しました。

【藤井教授】「まず冒頭の方で『経済あっての財政』を徹底的にするとおっしゃった。

よく財政を考えるときに、『財政規律を守る』ということが先に出てしまうことが多いのですが、(高市総理は)経済がなかったら財政はダメだから、まず経済をしっかりやるんだとおっしゃった。

それを実現するために、“責任ある積極財政”をやるとおっしゃっているんです。

その積極財政やるにあたって、僕がすごく重要だと思ったのが、『成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑える』と言っていることです。

どういうことかというと、去年のGDPの成長率は3%なんです。今の累積債務は1300兆円なんですけど、それで考えると3%以下の借金増加率だったらいいので、約40兆円の財政赤字が許容されるという演説をされたんです。

この40兆円の国債発行に基づいて、防衛だとか物価高対策とかができるという内容なのです。従って、極めて具体的な財源の裏付けのある演説になっていると僕は高く評価できると思います」

(関西テレビ「newsランナー」 2025年10月24日放送)

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