秋田犬との出合いをきっかけに仕事で長期滞在した秋田・大館市に移住した20代の夫婦が、宿泊施設の運営を始めた。秋田犬と暮らし、比内地鶏の飼育も始めた2人は、大館が誇る特産品を全国に広めたいと奮闘している。

秋田犬にほれ込み再び大館へ

としょ木漏れ日(秋田・大館市白沢)
としょ木漏れ日(秋田・大館市白沢)
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大館市白沢にある宿泊施設「としょ木漏れ日」。

古民家を改装したこの施設の運営を担うのは、大館市地域おこし協力隊員の佐藤大紀さん(26)と叶子さん(28)の夫婦だ。

「としょ木漏れ日」を運営する佐藤大紀さん・叶子さん夫妻
「としょ木漏れ日」を運営する佐藤大紀さん・叶子さん夫妻

東京都出身の大紀さんと青森県出身の叶子さん。プラント設備のエンジニアとして首都圏で働いていた大紀さんが工場の新設工事に関わったことがきっかけで、2023年4月から2024年7月まで大館市に長期滞在した。

その時、運命的な出合いがあった。大紀さんいわく「秋田犬にほれてしまった」のだという。

2人が「ほれてしまった」という秋田犬
2人が「ほれてしまった」という秋田犬

2人は東京に戻る際、秋田犬を連れて帰ったが、「転職して農業をやりたいな」と思うようになり、色々探しているうちに大館市の地域おこし協力隊の募集を見つけた。

1年間住み、よく知っている場所だった上、秋田犬にとってすごく住みやすい環境だったことから、再度「大館に行こう」と決断した。

“農泊”開始 2匹の秋田犬が出迎え

佐藤さん夫婦が運営する「としょ木漏れ日」は、元々地域の人が集まっておしゃべりしたり、本を読んだりできる民間施設として2019年に開設された。

地域の交流拠点であり農泊施設でもある「としょ木漏れ日」の室内
地域の交流拠点であり農泊施設でもある「としょ木漏れ日」の室内

2025年4月に事業を継承した2人は、これまでの交流拠点としての機能に加え、農業体験や宿泊ができる「農泊」を始めた。

施設では2匹の秋田犬が訪れた人を迎えてくれる。

虎毛の雄・お殿水(手前)と赤毛の雌・甘露甘露(奥)
虎毛の雄・お殿水(手前)と赤毛の雌・甘露甘露(奥)

ゆったりとした性格の虎毛の雄「お殿水(とのみず)」と、元気いっぱいな赤毛の雌「甘露甘露(かんろかんろ)」だ。

「秋田犬がいたり、きりたんぽ作りができたりと、秋田を感じてもらえたらいいなと思う」と話す叶子さん。

ペット飼育の資格取得に向け勉強中の妻・叶子さん
ペット飼育の資格取得に向け勉強中の妻・叶子さん

現在、叶子さんはペットの飼育に関する資格取得に向けて勉強中で、今後、2匹の秋田犬とのふれあい体験ができるようにするのが目標だ。

ブランド力誇る「比内地鶏」も飼育

一方、元々農業に憧れを抱いていた大紀さんは、大館市で生活する中で「比内地鶏を飼育したい」と思うようになり、飼い始めた。

農泊では比内地鶏への餌やりなども体験できる
農泊では比内地鶏への餌やりなども体験できる

農泊では、きりたんぽ作りや野菜の収穫の他、比内地鶏への餌やりなども体験サービスに盛り込んでいる。

「世に出して恥ずかしくない比内地鶏を育てたい」と意気込む夫・大紀さん
「世に出して恥ずかしくない比内地鶏を育てたい」と意気込む夫・大紀さん

比内地鶏の良さは、先人たちのおかげで「ブランド力があること」と話す大紀さん。

「一羽にかけられる労力も上がってきて、自分の納得できる、世に出して恥ずかしくない、そして何よりもおいしい比内地鶏を作っていきたい」と意気込む。

大館の特産品をもっと広めたい

地域おこし協力隊の任期は3年。この間に2人は、比内地鶏の飼育や流通などについて学び、任期終了後には比内地鶏農家として新規就農を目指す。

目標は「大館の特産品を全国に広めること」と語る佐藤さん夫妻
目標は「大館の特産品を全国に広めること」と語る佐藤さん夫妻

「3年後までに比内地鶏の勉強をして、生産者としての技術を身に付けたり、準備を進めたりしたい」と話す叶子さんは、秋田犬のPRにも力を入れていきたいという。

大紀さんは「大館の特産品である秋田犬と比内地鶏ときりたんぽを、われわれの力で今以上に全国に広めていくのが今の目標」と語る。

大館市が誇る特産品に大きな可能性を見出した2人は、夢に向かって走り続ける。

(秋田テレビ)

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