「地域の足」の維持が大きな課題となっています。長野市街地と中山間地を結ぶ3つの路線バスが廃止され、10月から市営の「乗り合いタクシー」の運行が始まりました。代替交通が確保されたことに安堵する住民がいる一方、土日の運行がなくなり「不便になった」との声もあがっています。現状を取材しました。
■地域のバス路線が廃止…
長野市信州新町の山間地を走るジャンボタクシー。市営の「乗り合いタクシー」です。
地域のバス路線が廃止され、「代替交通」として10月から運行が始まりました。
利用客(62):
「自家用車は乗れないんです。(代替交通が確保され)うれしいです。乗り心地も良いです」
長野市街地と中山間地を結んでいた6つの路線バス。
長電バスとアルピコ交通は、運転手不足や利用客の減少などを理由に、「篠ノ井新町線」「牟礼線」「県道戸隠線」の3路線を9月末で廃止に。
代替交通として乗り合いタクシーの運行を始めています。
また、アルピコ交通の「鬼無里線」「高府線」「新町大原橋線」の3路線は2025年度末で廃止され市営バスになります。
各路線のダイヤなどは住民から意見を募る方針です。
■「不便」の声 土日・祝日は運休
10月から運行が始まった「乗り合いタクシー」。各路線とも10人乗りの車両で運行しています。
住民からは「代替交通が残って良かった」という声が多く聞かれました。
ただ―。
利用客(62):
「土日はタクシーが休みになっちゃう。帰るのに帰っていけなくなって、すごく不便。土日も走らせてほしい」
3路線とも土日・祝日は完全運休となってしまいました。
長野市芋井地区では―。
こちらは、「県道戸隠線」を引き継いだ「芋井銚子口線」です。沿線には高校もあります。
平日、ほぼ毎日利用する生徒は―。
通学で利用(高校3年):
「(路線バスは)10月前までは、往復2100円くらいだったので、今は1200円。だいぶ安くなりましたので、そこは(気が)楽だなと思う」
乗り合いタクシーのメリットもあります。一部を除いて運賃は路線バスよりも基本的に安くなりました。
ただ、芋井地区の住民からもやはり「不便になった」との声が聞かれました。土日・祝日運休の他、これまで長野駅を経由しバスターミナルまで結んでいた路線が、善光寺近く(「花の小路」)のバス停までに短縮されたからです。
利用客(30):
「(乗る頻度は)バスの方が多かったです。駅まで行くからです。土日を数本でもいいので出していただけると助かる」
■休日運行について市は…
芋井地区の五味美穂子さん(80)。車の免許はなく通院などのため路線バスを使ってきました。現在も定期的に乗り合いタクシーを利用しています。
五味さん:
「(乗り合いタクシーが)あって、とてもありがたいと私は思ってます。あるとないでは全然違う」
五味さんは路線バス廃止の方針が示された後、2025年4月に住民が立ち上げた「長野市の公共交通を考える会」の代表。6月には公共交通の充実を求め2670人分の署名も市に提出しました。
市が代替交通として「乗り合いタクシー」の運行を始めたことを一定程度評価しています。ただ、休日運休の影響は沿線住民にとって大きく、これからも利便性の向上などについて市に要望し続けたいとしています。
長野市の公共交通を考える会・五味美穂子代表:
「芋井には病院がないから街場にいかないと。スーパーも遠いし。土日勤めじゃない人に頼むのも困難だし、やっぱりバス(乗り合いタクシー)を頼りたい」
乗り合いタクシーの休日運行について市は「委託会社の選定や運転手の確保が課題」としています。
「地域の足」の維持。今回の路線に限らず大きな課題となっています。