自民党と連立を組むことになった維新の会ですが、政策協議の際、大きな柱の1つとなったのが「副首都構想」です。
あまり聞き馴染みのない政策ですが、その裏には維新の“一丁目一番地”の政策として知られる「大阪都構想」が見え隠れします。
大阪府庁キャップの加藤記者は取材の結果、「副首都構想」について「大阪都構想の実現」が狙いにあり、「3度目の住民投票」が実施される可能性を指摘。
そして民意を問うため、吉村知事が辞職・出直し選挙に打って出る可能性にも言及しました。
■“副首都”の狙いは…大阪都構想が含まれている
【関西テレビ 大阪府庁キャップ 加藤さゆり記者】「災害時のバックアップや、東京一極集中の解消が必要な部分があるということで、自民党の高市総裁もこれを推進していくという方向ですが、大阪府議会からは反対の声も上がっています。
なぜ反対なのかと言うと、「“副首都”の狙いは大阪都構想が含まれている」からだということです。
維新が来年の通常国会で提出しようとしている法案の骨子では“副首都の条件”として、
・東京圏の災害で被害を受ける恐れが少ない場所であること、
・法律による「特別区の設置」がされていること
を盛り込んでいます。
この特別区というのは、東京以外は今はありません。
だから新たにこれ(特別区)を大阪に作ろうということが入っているんじゃないか、つまり大阪都構想に狙いがあるんじゃないかという所です。
そこに対して怒りの声があるわけです。
■「都構想と副首都構想は切り離さないといけない」と太田さん
住民投票で2度否決されている「大阪都構想」。
共同通信社・編集委員の太田昌克さんは「都構想と副首都構想は切り離さないといけない」と話します。
【太田昌克さん】「都構想と副首都構想は、切り離さないといけません。“都構想ありきの副首都”だと思われたら、大阪の半数くらいの人は良いかもしれないけど、これ国民全体にとっての問題なので、きちんと切り離して『副首都はまず必要なんですよ』という議論から、しっかりしていかないといけないと思います」
どういう形で民意を拾い上げるのでしょうか。
【加藤さゆり記者】「大阪ではその民意が2度示されているわけです。その2度の否決というのは、『非常に重いものである』と話される市議の方、府議の方、結構たくさんいらっしゃいます。
吉村さんも、当時『僕自身が大阪都構想に政治家として挑戦することはもうありません』ということを断言されているわけです。
3度目の挑戦するのであれば、今まで以上に丁寧な説明が求められます。
そこに対して吉村さんは、『民主的なプロセスが必要であると思っている』と話しています」
■吉村代表の言う「民主的プロセス」 知事の出直し選挙か
「民主的プロセス」とは何か。取材から維新が想定しているのではないかという“大阪都構想”実現へのスケジュール”が見えてきました。
・ことし 自民・維新の連立政権が誕生。
・2026年 “3度目の都構想”挑戦を表明?
・2026年 吉村知事が信を問う出直し選挙?
・2027年 統一地方選挙 3度目の「住民投票」実施?
【加藤さゆり記者】「ことし連立政権が誕生し、“副首都の法案”が前に進んでいくだろうと思われます。そうすると、恐らく来年のどこかで、『3度目の都構想に挑戦します』ということを明言するであろうと思います。
そうするとこれに対して吉村知事が、『信を問うための出直し選挙』を言うのではないかと。ここが吉村さんの言うところの、『民主的プロセス』なのではないかと言われています。
その民意が通れば、恐らく3度目の住民投票が実施されるのではないかというスケジュール感で、今動いているかもしれないというところです」
【共同通信社 太田昌克編集委員】「3度目に挑戦するんだったら、出直し選挙はマストですよ。だって『もうやらない』って言ったんだから。そうなると1回、知事の座を降りて『もう1回皆さんに訴えたい、やり直したいんだ』と、そこで信を得る必要がまず出てくるということですよね」
■2027年の統一地方選挙がポイント? 3度目の大阪都構想なるか
副首都構想の維新の骨子案の「特別区を設置する」という条件は変えることはできないのでしょうか。
【加藤さゆり記者】「今回、自民と維新で連立となりましたので、恐らくこの法案を実際に議員立法という形で、今後上げていくことになります。その時に今維新が盛り込んでいる条件が、必ずしも全て通るわけではありません。
自民からすると、大阪都構想には今まで反対してきています。『副首都という考え方は分かる。バックアップや一極集中の解消はもちろん必要。だけど、大阪都構想まで要りますか』となった時に、ここの文言(法律による特別区の設置)が、もちろん外されてくる可能性はあります。
ただ今日(20日)、吉村代表は質問に対して『ほぼあり得ない』と断言しています。つまりそれぐらい、ここに対する思いは強いということを感じました」
【共同通信社 太田昌克編集委員】「先ほどの連立政権合意書を読んでますと、『令和8年通常国会で、この副首都に関する法案を成立させる』と。すなわち来年の6月、あるいは延長して7月までには成立させるということが書かれている。
そうなると恐らく吉村知事は、この法案が通った後に信を問う選挙を行うのかもしれない。
そしてその信を得た余勢をかって都構想の住民投票をやる可能性がある。あるいは同時にやる可能性もありますよね」
(関西テレビ「newsランナー」2025年10月20日放送)