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プレスリリース配信元:クックパッド

クックパッド×ギャラップ社の大規模調査データが国際学術論文に~世界食糧デーを契機に、料理における「見えないジェンダー格差」を可視化~

クックパッド株式会社(本社:東京都目黒区、代表執行役:佐野陽光 以下クックパッド)は、クックパッドが2018年から米ギャラップ社と実施し、2023年に発表したデータベースを基に執筆された研究論文「Household cooking and eating practices across food system typologies in 135 countries from 2018 to 2022」が、コロンビア大学気候スクール、米ジョンズ・ホプキンズ大学公衆衛生大学院の研究チームによって国際学術誌に発表されたことをお伝えします。
本研究では、クックパッドが2018年から米ギャラップ社と実施し、世界約140カ国・64万人規模の料理頻度調査を活用したデータが活用されました。

本論文では、世界で初めて「世界135カ国で女性が男性の2倍も料理を担っており、料理の担い手が圧倒的に女性に偏っている」事実が実証されました。家庭料理のジェンダー格差と社会経済的要因を包括的に分析した研究は世界初であり、料理を取り巻く構造的課題を可視化した極めて貴重な論文です。

クックパッドは、10月16日の世界食糧デーを契機に、本論文の検証と分析を行い、「料理を取り巻く経済状況とジェンダー」の課題と目指すべき方向性をまとめました。

※調査における「料理」の定義
本研究では、過去7日間のうち何日、野菜・肉・穀物などの材料から家で昼食または夕食を調理したかを測定。調査では「家で調理する」を「主に野菜、肉、穀物などの材料から家で準備された食事」と定義し、個人が自分で調理した頻度を回答してもらった。

■論文サマリー

研究タイトル: "Home cooking frequency around the world: A cross-sectional analysis of 135 countries"
筆頭研究者: Bianca Carducci(コロンビア大学)
共同研究者: Jessica Fanzo(コロンビア大学)、Julia A. Wolfson (ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院 准教授)
調査規模: 135カ国・約64万人
調査期間: 2018年~2022年(Gallup World Pollデータ使用) 

■主要な研究結果

世界共通のジェンダー格差
本研究は、135カ国638,192人のデータを分析したもので、女性が男性より214%多く料理を担当していることが明らかになりました。この格差は、調査対象となったすべての地域で共通して観察されました。一方、家庭で調理された食事を消費する頻度の男女差は小さく(女性が3%多い程度)、料理を「作る役割」と「食べる役割」が明確に分離している実態が確認されています。
国の発展段階による違い
世界の食システムを5つの発展段階(農村・伝統型、非公式・拡大型、新興・多様化型、近代化・公式化型、産業化・統合型)に分類した分析では、新興・多様化型(中国・インド等)が農村・伝統型より13%高い調理頻度を示しました。一方、産業化・統合型(日本・米国等)では料理頻度が最も低く、近代化・公式化型も同様に低い傾向を示しています。これは食システムの発展と共に家庭での料理から外食・加工食品への移行が進むパターンを示唆しています。
経済格差と料理頻度の関係
社会経済的要因との関連では、調査対象者の37%が「過去12か月間に食費が十分でなかった」と回答しており、こうした経済的制約を抱える層は、特に農村・伝統型食システム(自給自足的な農業が中心の地域)で61%と最も高くなっています。農村部居住者、低学歴層、パートタイム労働者や無職の人々は、都市部居住者や高学歴層、フルタイム労働者と比較して有意に高い調理頻度を示しました。
パンデミックの影響
調査期間(2018-2022年)にはパンデミックの影響も捉えられており、2020年から2021年にかけて多くの食システムタイプにおいて料理頻度が増加しました。しかし、この期間中もジェンダー格差は維持・拡大し、2022年には料理頻度がパンデミック前の水準に向かって減少しています。

■まとめ

研究では、料理行動の健全な発展に向けて下記3つの重要な視点を提示しました。
- ジェンダー平等の推進: 料理の担い手が特定の性に偏る現状の是正
- 包括的な健康支援: 料理頻度向上と食環境整備の同時推進
- 文脈に応じた政策設計: 各国の文化・経済状況を踏まえた柔軟なアプローチ

「料理頻度の高さ=健康」という単純な図式ではなく、誰が・どのような環境で・どのような食材で料理するかという総合的な視点が必要と結論づけています。

■クックパッド広報部本部長 小竹貴子によるデータ分析とコメント

世界の食料問題を考えるうえで、「誰が食べるか」だけでなく、「誰が作るか」という視点も同じくらい重要です。

コロンビア大学らによる今回の研究は、世界135カ国で女性が男性の2倍も料理を担っているという現実を数値化しました。この規模で家庭料理のジェンダー格差と社会経済的要因を包括的に分析した研究は世界初であり、料理を取り巻く構造的課題を可視化した極めて貴重な論文です。

この圧倒的な格差は、料理が『義務的な作業』として特定の性に固定化されている世界共通の構造を浮き彫りにしています。
しかし、この研究が本当に重要なのは、単に現状を告発することではありません。料理という行為が『健康』『家族』『暮らし』といかに深く結びついているか、そしてその豊かな可能性を示唆している点にあります。

料理は本来、創造的で楽しい営みです。
誰かの義務ではなく、誰もが自由に選べる喜びであるべきです。『やらなければならない日々の責務』から『やりたくなる楽しみ』へ。
この価値観の転換こそが、ジェンダー格差を自然に解消する鍵だと私たちは考えています。

クックパッドは『毎日の料理を楽しみにする』をミッションに、67カ国でサービスを展開してきました。今回の研究結果は、私たちが日々感じていた課題の普遍性を学術的に証明するものでした。

今回の研究成果を踏まえ、私たちは以下の視点でサービスの進化を加速させます:
- 料理の価値の再定義 - 義務的な作業から創造的活動へ、料理の社会的位置づけの転換を促進
- 多様な料理のあり方の提示 - 経済状況や生活環境に関わらず、誰もが料理を楽しめる選択肢の拡充
- グローバルな視点での課題解決 - 各国の文化や社会状況を踏まえた、きめ細やかなアプローチの深化

料理を通じて、すべての人がより豊かな暮らしを選択できる社会へ。その実現に向けて、私たちは歩みを進めていきます。

【クックパッドについて】
クックパッド株式会社は「毎日の料理を楽しみにする」をミッションに掲げる、料理とテクノロジーの会社です。日本を含む世界67カ国・地域、26言語で展開する料理レシピ投稿・検索サービス「クックパッド」、料理のAIコーチングサービス「moment」、生鮮食品オンライン市場「クックパッドマート」などを運営しています。私たちは料理を通じて、ヒト、社会、地球の豊かな未来を目指します。

社名 : クックパッド株式会社 https://info.cookpad.com
本社所在地 : 〒153-0044 東京都目黒区大橋2-22-44
代表執行役:佐野 陽光(さの あきみつ)
資本金 : 50,000千円(2025年3月末)
設立年月日 : 1997年10月1日
従業員数 : 105人(2025年3月末 連結ベース)
主要事業 : 毎日の料理を楽しみにする事業

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