宮城県知事選(10/26投開票)に立候補した遊佐美由紀氏(62)に単独インタビュー

「宮城を世界一のふるさとにしたい」という立候補理由、現県政の姿勢批判、掲げる「新・福祉立県みやぎ」をノーカットに近い形で掲載する。
【前編】は立候補の動機、現県政の評価、福祉や子育て政策、中小企業支援、人口減少対策を中心に聞いた。

ハイライト(要点)

・立候補の動機:「今の県政では子供たちの未来が立ち行かない」と感じ、退路を断って立候補した。
・現県政の評価:長期政権の中で知事が「私」を前面に出し、県民の声を聞かない独断姿勢に変わったと指摘。信頼が断ち切られた以上、転換期だと強調する。
・新・福祉立県みやぎ:福祉を「ウェルビーイング」捉え、産業・医療・教育すべてが幸せを作る土台だと位置づける。
・声なき声を真ん中に:医療的ケア児の母や障がい者など「声なき声」を長年聞いてきた経験から、社会の周縁に追いやられた声を政策の中心に据える。
・保育・介護サービスの柔軟化:国の制度では働き方に合わず保育から漏れている人が多いと指摘。県独自の調査を行い、働き方に合わせた柔軟な保育・介護サービスを提供する。
・中小企業支援:事業者の99.8%を占める中小・小規模企業を積極的に支援する。
・人口減少対策:魅力ある中小企業への情報提供や金融支援、人材育成研修の充実が必要。高齢者が子育てを支え合う地域づくりを進めることで子供を産み育てやすい環境を整える。
・水道事業の見直し:20年間の民間委託契約ではコスト削減効果が予測できず、安全性の検証や情報公開が不足していると批判。水の安全と透明性を最優先する。

Q. 立候補を決断した理由は?

宮城で生まれ育ち、宮城を世界一のふるさとにしたい。震災からの復興も含めて、今の村井県政では子供たちの未来が立ち行かないと感じています。今こそ退路を断ち、子供や高齢者などすべての人の幸せのために頑張るべきだと決意しました。

Q. 村井県政5期20年をどう評価しますか?

最初は一生懸命だったと思いますが、長期政権の中で「私」が前面に出るようになりました。美術館や病院の問題などで独断専行となり、県民の声を聞かなくなったと感じています。信頼が断たれた県政はあってはならず、交代の時期だと考えます。

Q. 多選の弊害についてどう考えますか?

「途中までやってきたから続けたい」という理屈は、県政課題が普遍的に続くことを考えればおかしいと思います。バトンタッチをしない姿勢は、権力を握り続けたいという姿に映ります。限界がどこなのか、突き詰めるべきだと考えます。

Q. 「新・福祉立県みやぎ」公約への思いは?

福祉とは目の前の危機に対応するだけでなく、社会的・精神的な幸せ、ウェルビーイングを実現することです。産業・医療・教育も含めて幸せを生み出す土台としての公共の福祉を重視し、「新・福祉立県みやぎ」という旗印を掲げました。

Q. 声なき声を政策に生かすというのは?

元放送局リポーターとして多くの声を聞き、議員としても医療的ケア児の母親や障がい者など「声なき声」を聞いてきました。そういった声は本当は真ん中に置かなければならないのに周縁に追いやられていると感じます。すべての声を中心に据えたいと思っています。

Q. 育児や介護で働けない女性への支援策は?

国の保育制度は親の働き方への対応が柔軟ではなく、制度に合わないため保育を受けられない人が多くいます。県として調査し、働き方に合わせた柔軟な保育・介護サービスを提供したいと考えています。

Q. 中小企業支援を掲げる理由は?

村井県政は大企業誘致を進めてきましたが、台湾の半導体誘致のように土地だけが残りました。一方、地域の事業者の99.8%は中小・小規模事業者です。若者が参入するコミュニティビジネスやスモールビジネスを後押しすることで、人と人をつなぎ、人口減少社会の解決モデルになり得ると考えます。

Q. 人口減少対策をどう進めますか?

魅力ある企業で能力を発揮したい若者が県内企業に出会えていないことが原因の一つ。情報提供や金融支援を通じて中小企業を支援し、大学との連携で若者の地元定着を促します。医療・教育支援と同時に高齢者が子育てを支える地域づくりを進めることで安心の土台をつくります。

Q. みやぎ型管理運営方式(水道事業)はどう評価しますか?

水道事業は長期にわたって継続されるものです。民間委託によるコスト削減は20年の契約期間中にどれほど実現するのか予測できないと考えています。知事が20年間同じかどうかも分かりません。公約通りにならない場合は解消できる仕組みが必要であり、水の安全性や技術者の確保、削減効果を県民に情報公開しながら検証していきます。

プロフィール

氏名:遊佐 美由紀(ゆさ みゆき)/62歳
経歴:旧鳴子町出身。元NHKリポーター・キャスターなど。県議会議員8期
※肩書・経歴は取材時点。インタビュー収録日:2025年9月30日

編集注

・本文は候補者の見解であり、数値・評価は本人主張に基づきます。
・語句や表現は意味を損なわない範囲で整文しました。
・公平性のため、全候補を同フォーマット・近似文字量で掲載します。

仙台放送
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