宮城県知事選(10/26投開票)に立候補した和田政宗氏(51)に単独インタビュー

国政から県政へ挑む理由、現県政の評価、掲げる「日本一の子育て県」、財源の考え方、水道事業・宿泊税・土葬問題、介護・福祉、産業戦略までをノーカットに近い形で掲載する。
【前編】は政策・財源・子育て・宿泊税を中心に聞いた。

ハイライト(要点)

・立候補の動機:参院選後の県内行脚で「現県政の転換を求める声」が高まり、同世代や幅広い地域からの出馬要請に応えた。
・現県政の評価:東本大震災の復興対応は評価するが、20年の間に「増税が4回」「出生率ワースト2」「水道料金の高止まり」「4病院再編やPSMC誘致の頓挫」など歪みが蓄積していると指摘した。
・「日本一の子育て県」構想:出産支援金30万円上乗せ、産後ケア費ゼロ、高校まで授業料完全無償化、不妊治療の自己負担・卵子凍結費の全額補助など、出産・育児の実質無償化に踏み込む。
・財源試算は年間約300億円:事業の徹底見直し、将来投資としての県債活用、大型事業の再検討で捻出し、県民向け公開審査を導入する。
・減税と優遇策の公平性:県民税5%減税を全県民に適用し、子育て世帯に上乗せ。子供を増やす政策は県全体の利益であり、長期的には不公平ではないと主張する。
・GoToトラベル評価と宿泊税批判:観光業の危機を救った意義を認めつつ、宿泊税(1泊300円)は増税依存であり、約12.5億円は事業効率化で賄えると主張。
・宿泊税導入プロセスを問題視:使途が固まらない段階で課税を進めた手続きに疑問を呈し、県民合意と説明が必要だとした。

Q. 国政から県政へ。立候補を決断した理由は?

参議院選後に県内を回る中で、村井県政からの転換を求める声が強く上がりました。同世代を中心に、多世代・広範な地域から「和田さんに出てほしい」と要望され、熟慮の末、声に応えるべきだと判断しました。

Q. 村井県政5期20年をどう評価しますか?

復興初期の対応は一定評価しますが、20年続く中で歪みが蓄積していると見ています。物価高でも増税を継続し、これまでに4回の増税があった。出生率は全国で下から2番目。水道事業の民間委託後も料金が全国3位の高止まりで、4病院再編やPSMC誘致も頓挫しました。こうした状況を踏まえると、6期目継続には疑問があります。

Q. 公約「日本一の子育て県」その中身は?

出産・育児の実質無償化に踏み込みます。県独自の出産支援金を30万円上乗せし、産後ケア費をゼロに。高校までの授業料を私立含めて完全無償化し、給食費も負担させない。不妊治療の自己負担ゼロ、卵子凍結費の全額補助も想定しています。出生率ワースト2からの転換には、思い切った施策が必要だと考えています。

Q. 財源はどのように捻出しますか?

子育て支援で約100億円、減税で約200億円、計300億円が必要と試算。一般会計1兆円の約3%であり、事業の徹底見直しと将来投資としての県債活用、大型事業の再検討によって捻出します。さらに、公開の事業審査を導入し、県民に透明性を持たせたいと考えています。

Q. 減税と子育て優遇策は“不公平”との指摘もあります

個人県民税は全県民一律5%減税とし、そのうえで子育て世帯に上乗せします。将来の担い手を増やすことは県全体の利益であり、長期的には不公平ではないと考えます。宮城は東京への人口流出が全国ワーストであり、思い切った政策で人口と活力の流出に歯止めをかけるべきです。

Q. GoToトラベルの評価は?

新型コロナ禍で観光業が連鎖倒産の危機に直面し、思い切った需要喚起策が必要でした。GoToトラベルの意義は大きいと考えます。一方、宮城の宿泊税は県民も対象の増税であり、約12.5億円は事業の効率化で賄えるため、増税依存は望ましくありません。

Q. 宿泊税導入のプロセスをどう見ますか?

使途が固まらない段階で課税を進めたのは異例です。事業者が総論として反対する中で押し切った点も問題だと考えます。まずは県民と合意形成し、使い道を明確にした上で議論すべきでした。

プロフィール

氏名:和田 政宗(わだ まさむね)/51歳
経歴:東京都出身。元NHKアナウンサー。参院議員2期
※肩書・経歴は取材時点。インタビュー収録日:2025年9月30日

編集注

・本文は候補者の見解であり、数値・評価は本人主張に基づきます。
・語句や表現は意味を損なわない範囲で整文しました。
・公平性のため、全候補を同フォーマット・近似文字量で掲載します。

仙台放送
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