EU(ヨーロッパ連合)がウナギ全種を国際取引規制の対象にするよう提案したことを受け、うなぎの価格上昇への不安が広がっている。ワシントン条約事務局は、EU提案の「採択を勧告する」との最終評価を発表。小泉農水相は規制強化阻止に全力を尽くす考えを示している。
ウナギ全種を規制対象にするEU提案に日本側が反発
取材班が訪れたのは、“うなぎ街道”とも呼ばれる千葉・成田山の参道にある「うなぎ新川本店」。

ウナギ問屋の直営店でもある店では、国産をはじめ中国や台湾などから輸入したニホンウナギを仕入れて販売している。

うなぎ新川・西勝光治社長:
余計値段が上がると思いますよね。たぶん客離れが起きると思います。

値段が上がり、客も離れる。不安の背景にあるのが、野生動物の国際取引を規制するワシントン条約だ。
EUは6月、ヨーロッパウナギだけでなく、ニホンウナギを含むすべての種類を国際取引の規制対象にすべきだと提案。
これに対し日本側は、ニホンウナギの資源量は回復傾向にあると反論した。
しかし、ワシントン条約事務局は15日、EU提案について「採択を勧告する」との最終評価を公表した。

気になる価格への影響について、日本鰻輸入組合はFNNの取材に「中国など輸出側で許可証が必要になり、そのコストが輸入価格に上乗せされる可能性がある」とコメントした。
採択されれば輸入コスト上昇で値上げ必至か
価格上昇に対する不安の声は、人気のチェーン店「鰻の成瀬」でも聞かれた。
この店では「うな重」を1600円からというリーズナブルな価格で提供している。
鰻の成瀬・山本昌弘代表:
どうしても値上げせざるを得なくなると思う。ウナギがよりハードルの高いものになってしまう。

きっかけとなったEU提案の規制対象には、かば焼きなどの加工品も含まれている。もし採択されれば、スーパーで販売されている、かば焼きなどの価格への影響も懸念される。
こうした中、小泉農水相は17日、規制強化を阻止するため全力を尽くす考えを示した。
小泉農水相:
わが国としてはウナギ属全種の「附属書2」への掲載には反対。11月の締約国会議に向けて引き続き我が国の立場への理解が加盟国に広がるように、関係国と連携しながら全力を尽くしていく所存です。

焦点となるウナギの国際取引規制案は、11月末から開かれる締約国会議で協議される。
(「イット!」10月17日放送より)