去年以降、品薄や価格高騰など、コメをめぐる環境の不安定さが心配されていますが、一人の大学生がある思いを持って実家で生産したコメをブランド化。10月17日、販売にこぎ着けました。
■大学生“おじいちゃんのコメ”をブランド化!
新潟県三条市のスーパーに10月17日朝運び込まれた160袋のコメ。
熊倉一真さんは、大学で会社経営などを学ぶ学生でありながら、今年8月、コメを販売する事業を立ち上げました。
【ことぶきファーム燕 熊倉一真 代表】
「やっとこの日が来た。この日のために半年間ずっと準備していたのでうれしい」
搬入したのは、熊倉さんが商品化したコメ『ゆいつ』です。
10日、熊倉さんの地元・燕市では、家族や友人の協力を得て、コメをパッケージ化する作業を行っていました。
【ことぶきファーム燕 熊倉一真 代表】
「特別栽培米コシヒカリ普通に栽培されるコシヒカリよりも50%ほど農薬など化学肥料を使っていない(減らした)コメ。100%家で栽培している」
熊倉さんが商品化したコメ『ゆいつ』は、長年、熊倉さんの祖父・本田寿さんが栽培してきたコシヒカリです。
【ことぶきファーム燕 熊倉一真 代表】
「おじいちゃんが作った、小さい頃から食べていたおいしいコメなので、ぜひ多くの方に味わっていただきたいと思った」
最近は足が悪く、以前のように田んぼに出ることがなくなったという祖父・寿さんですが、熊倉さんにとって“おじいちゃんのコメ”は唯一無二のコメ。
【熊倉さんの父・正良さん】
「『売りたい』と(一真さんが)言い始めた。“おじいちゃんが作る唯一の米”ということで『ゆいつ』と名前をつけて販売すると」
【熊倉さんの姉・瑞月さん】
「やるぞと決めたら一生懸命頑張るところがあるので、そこがすごいなと思っている」
実家から3tのコメを自ら買い取った熊倉さん。原価計算からパッケージデザインまでを一人で行ってきました。
【ことぶきファーム燕 熊倉一真 代表】
「これは全て自分がデザインした。20回くらい色んなデザインを自分で試して、やっとしっくりくるデザインに仕上がった」
米袋も湿度からコメを守る機能のあるものを選ぶなど、こだわりは随所に。熊倉さんがこうして商品化を決意した理由は昨今のコメ事情にもありました。
【ことぶきファーム燕 熊倉一真 代表】
「今まではコメの価格が少し安すぎたのではないかと感じていた」
■コメをめぐる環境不安定に…持続可能な農業を考える
農家が減少し、日本の主食・コメの生産が将来的に維持されるのか危惧される中、おじいちゃんの自慢のコメから持続可能な農業を考えたい…販売に協力するスーパーマルセンの太田さんも熊倉さんを後押しします。
【スーパーマルセン 太田雅悠 専務】
「一手間、二手間かけてしっかりと消費者においしいものを届けようという気持ちの部分が共感できて、ぜひ協力したいと考えた」
17日、『ゆいつ』は5kg5054円で店頭に並びました。
【ことぶきファーム燕 熊倉一真 代表】
「この景色を見るためだけに半年間ずっと毎日頑張ってきたのでうれしい」
“唯一のコメ”が並んだその景色は、熊倉さんにとっては挑戦の始まりです。
【ことぶきファーム燕 熊倉一真 代表】
「今はまだ米粒のような小さな事業だが、今後は全国の人に味わっていただけるように頑張りたいと思っている」