朝、昼、夜、いつでも好きな時間に運動ができる場所があったら。そんな思いから、秋田・湯沢市に24時間営業のトレーニングジムを開いた男性がいる。時間を気にせず、飽きずに運動が楽しめる環境を提供することで、市民の健康意識を高めることにつながればと、男性はふるさとにUターンしてジム経営に奮闘している。
小さくてもいつでも運動できる場所を
ダンベルを手に筋力トレーニングの方法を指導している男性。

湯沢市で初めてとなる24時間営業のトレーニングジム「ATG24FITNESS」を経営する奥山尚人さん(28)だ。
湯沢市で育った奥山さんは、幼稚園から中学校までは柔道、湯沢翔北高校ではソフトテニスに励み、子どもの頃からスポーツに打ち込んできた。

高校卒業後は、愛知県内の工場で働きながらジムに通い体を動かしてきたが、運動を続けていくうちに、ふるさとの湯沢市が抱える問題に気がついた。
工場地帯がある湯沢市。工場で夜勤で働いている人が健康診断で「運動してください」と言われても、運動する場所がないのは問題だと思った奥山さん。
湯沢市には24時間ジムもなかったため、「それならせめて自分が、小さくても運動できる場所を提供することができればと考えた」という。
開業1年半で会員は約70人
湯沢市の人たちが好きな時間に好きな運動をする場所を作ろうと、奥山さんは2023年7月、湯沢市に戻りジムの開業に向けて準備を始めた。

そして、友人たちの支援を受けて建設会社の事務所だった場所をリニューアルし、2024年4月に24時間営業のジムをオープンさせた。

ジムには13台のトレーニングマシンを備えたほか、筋力トレーニングを行うウエイトスペースには、オリンピックの重量挙げ競技などにも使われている高い品質のバーベルも揃えた。
こうした本格的な設備が話題を呼び、ボディビル選手など本格的なトレーニングを行う人も利用するようになり、オープンから1年半でジムの会員は10~80代まで約70人になった。
運動は“楽しく” 独自サービスも
ジムでは、多くの人が運動しやすいように、あるサービスも行っている。それは、筋肉を回復させるプロテインの提供。1日1杯、無料で提供している。

奥山さんは「プロテインや小麦なども高くなっている。少しでも通う人の負担を減らしたいと思い、開店当時からプロテイン無料は続けている」と話す。

また、楽しく運動をしてもらうことにもこだわっていて、VR(仮想現実)を使ったトレーニングが体験できる。

「イカロス」はVRのヘッドセットをつけて行うトレーニング器具で、自分がダイバーとなって海底探索をしながら効率的に全身を鍛えることができる。
腰痛の改善も期待できるといい、4分ほどの運動で多くの汗が出て、運動効果の高さもうかがえる。
“飽きない”工夫で運動継続へ
他にも、エアロバイクに動画を見ることができるタブレット端末を設置するなど、利用者が運動を継続しやすい環境を整えているATG24FITNESS。

トレーニングや運動をする上で一番障害になるのは“飽き”だと考える奥山さんは「少しでも“飽き”を取り払えるような取り組みをすることが、会員や少しでも運動をしたい人の助けになると思う」と語る。
今後は個別指導だけでなく、地域の人たちを集めた集団指導も増やしたいという奥山さん。
運動で地域の元気をつくる活動は、これからもっと広がっていきそうだ。
(秋田テレビ)