九頭竜川の秋の味覚に異変が起きている。お腹にたっぷりと卵が詰まった子持ちのアユ。産卵のために川を下るこの「落ちアユ」の漁は、例年10月上旬にピークを迎えるが、今年は長引く残暑の影響でが出ている。

漁が解禁も…釣れるのはちょっぴり

福井県内では、坂井市三国町から永平寺町までの九頭竜川中部漁協の管内の8つの漁場で連日、地元の漁師たちが漁に出ている。

さぎり漁をする漁師
さぎり漁をする漁師
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このうち永平寺町内の九頭竜川では、産卵のため川を下る落ちアユを取る「さぎり漁」が9月1日に解禁された。 川を「遮る」が語源とされるさぎり漁。川に張った縄が水の流れで震え、その音に驚いて浅瀬に集まった落ちアユを網で捕まえる漁法だ。

網を川に張って流れを遮る
網を川に張って流れを遮る

「今までこんな事はなかった」

例年、10月上旬のピーク時は、多い時には1度に50匹ほどがとれるというが…
    
10月10日にさぎり漁を取材すると…朝6時から漁を始めて正午までに取れたのは、わずか10匹ほどだった。

1回網を上げて1匹の時も…
1回網を上げて1匹の時も…

さぎり漁を35年ほど続けているという九頭竜川中部漁協の南川忠男さんは「とれる時にはアユが連なって来る。今までこんな事はなかった」と困惑の表情を浮かべる。

困惑する漁師
困惑する漁師

水温が高くアユが産卵場所に降りれず

不漁となっている原因は、10月に入っても最高気温が30度近くまで上がる、この厳しい残暑とみられている。
      
アユが産卵のため川を下る水温は通常12度から13度。しかし、今年は例年より5度ほど高いため、川を下る時期が遅れているのだ。

水温が5度ほど高いまま
水温が5度ほど高いまま

地元でアユ料理を提供する同漁協の椛山義洋さんも「アユも産卵場へ下がりたくて一生懸命に産卵を我慢しているのでは」と話す。「もうしばらく待ってください。これからとれるアユは子持ちでポンポンに膨れたものが取れると思うので。これから最盛期になってくると思う」と期待を込めた。

子持ちアユ
子持ちアユ

九頭竜川の秋の味覚を味わえるのは、もう少し先になりそうだ。

福井テレビ
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