島根・雲南市で2月下旬、中学生と高校生5人が屋外で倒れていた高齢女性を発見し、救命につなげたとして警察署から感謝状が贈られた。厳寒の屋外で上着を脱いで女性にかけ、救急車が到着するまでの約5分間、懸命に命をつないだ5人。実はこのうち高校生4人は、防犯や交通安全を呼びかける動画にも出演し、警察の広報活動にも貢献していて、2度目のお手柄となった。
練習帰りに発見「あれ大丈夫?やばいんじゃない?」
2026年2月21日午前11時ごろ、雲南市内の体育館前。レスリングの自主練習を終えて外に出た大東高校と大東中学校の生徒5人が、高齢の女性が地面に倒れているのを見つけた。
最初に気づいたのは、大東中学校1年生の原虎乃介さんだった。「あれ大丈夫?やばいんじゃない?」。その声を合図に、5人はすぐに女性に駆け寄った。
女性の状態を確認したのは、大東高校レスリング部キャプテンの伊内湊音さん。「呼吸はしていたんですけど、呼びかけをしても反応がなくて、とりあえず手が空いている人に何をして、という指示を出しました」と振り返る。
冬の屋外、しかも女性は薄着だった。伊内さんはとっさに自分たちの上着を女性にかけるよう指示。さらに、中学生のときに消防署での職場体験で学んだ救命処置の知識をフル活用し、救急車が到着するまでの約5分間、懸命に対応した。搬送された病院で女性は回復し、命に別状はなかったという。
実は2度目——警察の広報動画にも出演していた
感謝状を受け取った5人に、雲南警察署の川上教彰署長は「厳寒の中、倒れている女性を発見するや適切な措置を講じ、人命救助に貢献されました」と称えた。
しかし警察がこの救助を知ったとき、ある事実に気づいた。
高校生4人は、雲南警察署が2025年に制作した特殊詐欺への注意を呼びかける広報動画に出演していたのだ。その動画では、レスリングの技を披露しながら特殊詐欺の手口を紹介するという、ユニークな内容だった。
生活安全課の山根誠課長は「今回、レスリングの皆さんがまた人助けをしていただいたということをお聞きして、警察署としては非常に嬉しく思いました」と語る。市民からの連絡で今回の救助がその高校生たちによるものだと判明し、感謝状を贈ることを決めたという。
チームワークが命を救った
5人はレスリング部などに所属し、普段から一緒に練習を重ねている仲間だ。今回の救助でも、キャプテンの伊内さんが冷静に指示を出し、それぞれが役割を分担して動いた。スポーツで磨いたチームワークが、緊急場面でも発揮された形だ。
伊内さんは「人助けをして良かったと思ったし、これからも困った人がいたら、助けたいと思いました」と話した。とっさの判断と勇気、そして日頃の練習で培った連携——その3つが重なって、一人の命が救われた。
(TSKさんいん中央テレビ)
